正太郎がようやく鉄人へのわだかまりを捨てることになる「悪の手先編(適当なサブタイトル)」です。
どう見てもアメリカですが「海の向こうの戦勝国」とだけ言われてます。そう言えば、ここと敵対する国も名前が出ません。まぁ、基本、悪役というか日本中心なんで、国名はぼやかしたんでしょう。どう考えてもソ連以外ありませんが。まぁ、こっちは暗躍してて、あんまり表に出てこないんで、アメリカほど支障はなさそうですが。
そこで紹介されるのがマフィア、スリルサスペンスです。たった4人のマフィアなんですが、精鋭なのか凶悪な手練れ。(アメリカ)で好き放題やってた一味が次に向けた矛先が鉄人28号でした。
そして釈放される村雨健次。「鉄人を狙う男がもう一人」と紹介されちゃってます。うーん、悪い奴じゃないんだけど、しつこいんだよな… まぁ、彼もこの「悪の手先編」以降、しばらく姿を消しちゃうんですが。
そう言えば、「ブラックオックス編」では拘置所止まりだったのに、今度はもろに刑務所なのは、さすがに罪を重ねて実刑がくだったのでしょうか。まぁ、季節が真夏になってるんで、せいぜい1、2ヶ月というところでしょうけど。さすがに年はないだろう、この話で。
釈放された村雨健次は場末のバーで飲んだくれてます。鉄人が活躍してるのがよほど気に入らない様子です。
バーのバーテンは、村雨に帰ってほしいようですが、(アメリカ)のマフィアが上陸したので、一帯のしまが静かなんだそうです。日本のヤクザは警戒中? それとも警察が特別警備中?
その翌日頃、港の船にブラックオックスが積み込まれていました。不乱拳博士の死とともにブラックオックスの操縦方法などが失われてしまったため、伊豆大島で敷島博士に研究されることになったのです。なんちゅうもんを持ってくんじゃ…
そこに近づく敷島博士。彼はアメリカのインタビューを受けている真っ最中でした。日本のロボット技術を見ておきたいとのことで、敷島博士に白羽の矢を立てたようです。大正解だと思います。
大塚署長は「戦勝国が敗戦国を見習う。もはや戦後ではないっちゅうことだな」なんて呑気なことを言ってますが、まぁ、この人は敗戦を体験してる身だし、占領時代も知ってるんで、実感こもってるんでしょうネ。ただ、この「もはや戦後ではない」は、この後の話でもちょくちょく顔を出します。そういう時代ですから。
しかし正太郎は反対します。ロボットが戦争に利用されることに抵抗があるのです。
ところが敷島博士は「それは使う人間の問題じゃないかな。どんなに大きな力を持ったとしても平和を守るために役立てるならそれでいいとは思わないかい」と、311を体験してしまった今は、脳天気にしか聞こえない台詞を吐きます。たとえ平和を守るためとはいっても、原子力などは10万年も毒性が失せない放射性廃棄物を作り出します。それを受け入れることはできないように、ロボットもまた、そういう側面を持っているものだと思うのです。原子力の場合は特に「平和利用」というのが本来の目的(プルトニウム製作)を隠してきた側面もありますからね。
正太郎は敷島博士の言葉に賛成も反対もできないまま、敷島博士は発ってしまいます。
表情の硬い正太郎を案じるような大塚署長。
その姿を車の中から見ていた者がありました。(アメリカ)のマフィア、スリルサスペンスです。
しかし、この場では手を出さずに「行け」と命じるスリルサスペンス。ていうか、この人の名前って、どこからが名字とかじゃないのか? スリルサスペンスが名字で、名前は別にあるのか? ルドルフみたいな…(特に意味はない)
雨の中、帰宅する正太郎。彼の脳裏に響くのは敷島博士の言葉です。でも、やっぱり納得できない正太郎。今の正太郎は鉄人のことを否定的に捉えていますから、博士の言うことにも素直に肯けないのでしょうが、わしは鉄人との絆が結ばれても、やっぱり肯かないでほしいなぁなんて思っちゃうんですが、それは、わしの勝手というものですネ。
うちに近づいた正太郎は、稲光で無人の研究所に人影を見つけます。
果敢にうちに駆け寄る正太郎。少年探偵は強気です。しかも入口につけられた足跡から複数の人間が侵入していることを推察、観察眼も鋭いです。
戸締まりをしていた研究所に侵入したのは誰か。潜入を試みた正太郎は背後から襲ってきた人影を投げ飛ばし、もう一人は足をかけます。
しかし、彼の抵抗もここまでで、灯りがつき、現れたのはスリルサスペンス一味だったのです。もっとも彼らは用心深く、名乗るようなことはしません。ただ、機関銃を向けて鉄人をよこせと言い、その用途については悪事であることは語っちゃいます。
正太郎も拒絶しますが、機関銃にはかないません。そこで絵の裏にあるスイッチを押すことで隠し部屋が開くと教えますと、即座に縛り上げられてしまいました。
ところが少年探偵、ただではやられません。
正太郎が教えたのは隠し部屋のスイッチではなく、ダミーの電気絨毯のスイッチだったのです。絨毯の上でしびれさせられちゃうスリルサスペンス一味。
正太郎は得意そうに高笑いです。しかも警察に連絡済みとは、この手の事態になれてます、少年探偵。
しかし、突然、研究所のブレーカーを落とした者がありました。
その隙に素早く逃亡するスリルサスペンス一味。さすがに逃げ足も速いです。それも暗黒街で生き残るひとつの理由かも…
スリルサスペンスを助けたのは村雨健次でした。正太郎と鉄人憎しで、とうとう悪党と手を結んでしまいます。こうなると、大人げないです。竜作アニキが草葉の陰で泣いておるぞ、おまい。
同じ頃、東京の郊外に謎のロボットが出没し、列車の転覆事故を起こします。
翌日、正太郎は警察で昨日の悪党の面通しというか、写真から人物の特定です。それでスリルサスペンスであることが判明しますが、大塚署長に「アメリカマフィアのボスだよ」って台詞があるのは、最初の「戦勝国」に何の意味もないような… 何で隠したんだ、そこで。
しかし事態は深刻です。スリルサスペンスのような大物が鉄人を狙っているんですから。大塚署長が正太郎の家を警備させようと言うと、正太郎は「大丈夫です」と請け負います。鉄人は敷島重工にあるし、操縦器(機じゃなくて器でした)も安全な場所に隠してあるからと言うのです。おまえ、それ、自分が昨日みたいに脅されたり、囚われたりしても大丈夫だって言えるのか?って感じですが、大塚署長は突っ込みません。それだけ正太郎への信頼度が高い、と言えば聞こえはいいですが、抜けてるのも事実な気が…
で、安全な場所とは、高見沢さんにプレゼントしたお化粧道具セットの蓋でした! そうとは知らず、化粧に熱心な高見沢さん。「どんなところにも持っていけるし」はいいとしても、「どんな事件の現場でも化粧できるし」って、必要あるのかよ!って感じですが、この話では貴重な女性キャラ、扱いは全般いい気がします。
でも大塚署長は列車の転覆事故のために出かけなければなりません。この人、警察のトップにいそうなぐらい地位が高いと思うんですが、フットワーク軽すぎ…
ここでさらっと挟まれる現実の事件ですが、1949年(昭和で言ったら29年なんで、物語の舞台より前)の
三鷹・
松川事件(リンク先はそれぞれの事件を解説したWikipediaのページ)が語られ、この頃、国鉄の妨害事件が多発していたことが言われます。三鷹事件も松川事件も未解決の事件です。ロボットというのは荒唐無稽な話ですが、こういう現実とのリンクが今川監督はうまいというか、わし好みです。
その現場に駆けつける正太郎と大塚署長。
貨車が住宅街に飛び込む大惨事です。
正太郎はレールの曲がり具合から、「列車は何かにぶつかって」と推測しますが、そうなの? そういうものなの? と物理に弱い(それで理系を諦めた過去あり)わしはわけわかめですが、大塚署長は昨日の晩の天気から、落雷で木でも倒れていたかと考えます。
しかし、目撃者は酔っぱらいさん一人。関刑事(声が関智一さん。今川監督は、役を声優さんの名前と同じにするとか、名字を同じという遊びがお好きですネ)が尋問してますが、酔っぱらいの言うことなんで信用されてない感じです。
ところが正太郎が巨大な足跡が残っていることを指摘したことでロボット説が信憑性を帯びるどころか決定的な証拠に。
大塚署長、「誰がそんな代物を」って言ってないで、足跡がついているんだから追いかけなさいよ。それとも、あのロボットって、飛ぶんだっけ?
そこに列車が近づいてきているとの報せが届きます。手前の駅で折り返し運転をしていたのですが、スリルサスペンス一味によってポイントが切り替えられ、こっちに近づいているのです。ていうか、方向見て発車しようよ!
しかも運転手は無線で呼びかけても反応がなく、操縦台もぶっ壊されてます。
あと10分で現場に到着ですって!
大塚署長は退避を命じますが、正太郎は鉄人を使おうと言い出します。
しかも、こんな事態を予測してか、高見沢さんがお化粧道具と一緒に差し入れを持って登場です。
正太郎は鉄人のことを化け物呼ばわりしていますが、何だかんだで便利に使っているのです。それは何となくずるいなぁと思います。
しかも敷島重工から10分以内で鉄人が現場に到着するのかというと… そこはまぁ、いいとしても、それを見守っていたのはスリルサスペンス一味です。
つまり、この列車転覆事故を利用しての罠だったのです!
「どうやって奪う」と言うスリルサスペンスに、村雨は「正太郎が操縦しているから、操縦器を奪ってしまえばいい」と答えますが、その条件として、アメリカに持ち帰ることを念押しします。「鉄人はこの国に必要ない」というのがその理由なのですが、スリルサスペンスに鉄人を渡して、万が一、それがアメリカに帰ったら、今度はアメリカの罪もない人たちが被害を被るのをわかって言ってるのか、おぬし? それともアメリカ人はどうでもいいのか? 答えてみろ、健次ぃぃぃぃ!って竜作アニキなら言うぞ!
暴走する列車。
そこに鉄人に乗った正太郎が駆けつけます。
正太郎は列車の屋根に飛び乗ると、そこから車内に入り、乗客に警告を発しながら先頭車両へ向かいます。
運転席に着いた正太郎は運転手が倒れているけど、まだ生きていることを確認しますが、操縦台はぶっ壊された後です。
列車は次第に事故現場へ近づいていきます。大塚署長と高見沢さんは退避しないで見守ってますが、あんまり役には立たないと思うんですが、とりあえず、大塚署長としては「正太郎くんが命を張っているんじゃ、わしが逃げてどうする」だそうです。
そこに現れる鉄人。
正太郎の操縦で列車を止めにかかります。ていうか、鉄人って、こんなに小さかったっけ? 列車よりちょっと高いくらいだと、せいぜい2〜3メートルではないのけ?
大塚署長は「いくら鉄人でも壊れてしまうぞ」と言いますが、鉄人はかなり頑丈なロボットなので、その心配だけはないと思うな〜 黙って突っ立ってるところに列車が突っ込んでくるなら別ですが、一緒に下がって、速力を落としてるんだし。
窓ガラスが割れて、正太郎は目をつぶりましたが、目を開けてみると、列車を止めようとする鉄人が。思わず「頑張れ、鉄人」と言ってしまう正太郎。
こうして、ぎりぎりのところで第二の惨劇は回避されましたが、鉄人って、けっこう滑るんですネ。
正太郎は安堵しますが、兵器として作られた鉄人が列車事故を回避したことに思いを巡らせます。脳裏に蘇るのは敷島博士の言葉です。
ところが、正太郎の後ろで倒れていた運転手が起き上がっていました。正太郎後ろ後ろ!!!
大塚署長、真っ先に正太郎のところに駆けつけていてもよさそうなもんですが、乗客の避難に追われています。だったら、高見沢さんとか…
そこに銃声が響き、署長は正太郎の元へ向かいますが、すでに撃たれた後でした。
こうして、鉄人の操縦器はスリルサスペンスの元に渡ってしまいました。
大塚署長と高見沢さんが正太郎の元に駆けつけると、鉄人が動き出します。
警官が鉄砲を撃ちますが、効くわけがありません。脱線した貨車を放り投げる鉄人。スリルサスペンス、初めての操縦なのに上手いですネ。
その姿に、正太郎は「おまえはやっぱり」と呟きますが、「ただの兵器なんだ」とでも言うんでしょうか?
この光景を見守る村雨健次も「鉄人はしょせん武器でしかないってことがわかったか」と呟いてますが、それは勝手というものではないのかえ?
次回、鉄人が「いいも悪いもリモコン次第」を実践します。
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