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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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金笠(キムサッカ)詩選

崔碩義編訳注。平凡社東洋文庫刊。

19世紀に活躍した朝鮮の放浪詩人・金笠の詩集です。本名は金炳淵(キム=ビョンヨン)ですが、いつも笠をかぶって全国津々浦々を放浪していたので、そういうあだ名がついたそうです。

詩といっても「尹東柱」と違い、漢詩なので現代語訳されてますから、どちらかというと李白とか杜甫の方が近い味わいだったりしましたが、わりと格調高い李白とか杜甫に比べると、技巧的というか、同音異義語を駆使した猥語や人物(だいたい両班)の名前とかによる罵倒が超絶的なレベル。「ルバイヤート」は酒大好きな方向に突き抜けた明るさがありましたが、金笠は祖父が没落した両班で、しかもある程度、大きくなるまでそれを知らなかったという屈折した感情なんかもあるためか、ここまで突き抜けちゃった方向性というのは世界的に見ても類がないんじゃないかと思いますが、わしも詩はよく知らないので、まぁ、ともかく凄いとしか言いようがないです。

こういう詩を原文で読めたら、ずいぶんとおもしろいんだろうなぁと思いました。

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朝鮮歳時記

洪錫謨著。姜在彦訳注。平凡社東洋文庫刊。

片っ端から「朝鮮」と名のつくものを読んでる感じです。

タイトルどおり、朝鮮の歳時記を綴るものですが、うーん、こういうの、やっぱりある一定の階層以上に限られてたんだろうなぁと思いました。だって使ってる農産物にしても工芸品にしても富裕層じゃないと手に入らないんじゃないかと。なので時代的にはだいぶ異なりますし、何かと引き合いに出しちゃいますが、「太白山脈」の小作農たちには無縁とは言わないまでも、ここまでの再現は難しかったんじゃないかと。

まぁ、それでも好きな外西宅(ウェソ・テク)が娘の頃に鳳仙花の花で爪を染めたというエピソードがありましたけど、それが載ってて、明礬を混ぜたとあったので、ただの花の汁じゃ定着しないよなぁと納得しました。

あと河大治(ハ=デチ)が小兵(160cm足らず)ながら相撲が強いという描写が何回かあって、相撲について書かれていたりしたのも興味深かったです。

そういや、何年か前に両親に送った智異山のお茶は、去年、飲んだそうですが、かなり美味かったそうです。ただ、「火山島」とか読んでたら、両班の李芳根(イ=バングン)でも馴染みが薄かったみたいですが、あれは済州島という地理的な理由もあったのでしょうか。

そんな感じで、知ってる小説とかに引きつけて読むのはおもしろかったです。

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洪吉童伝

許筠著。野崎充彦訳注。平凡社東洋文庫刊。

朝鮮で有名な義賊の一人、洪吉童(ホン=ギルトン)の小説ですが、作者が刑死した許筠というのは諸説あるようで、はっきりした作者はわかってないみたいです。

宰相の次男として産まれながら、生みの母親が卑しい身分だったために、父を父と呼べず兄を兄と呼べぬ不遇を嘆いた洪吉童が出奔し、義賊となり、朝鮮の南に理想の王国を作るまでを描いた話。

だったんですが、両班(ヤンパン)が身分にうるさいのは知ってましたけど、生みの母の身分次第で子どもの扱いが変わるとか日本とはまた違った事情がいろいろと主人公を苦しめます。さらに加えて、武術を磨いても将軍になれず、科挙に受かっても宰相にもなれないとか、どんだけうるさいんだろうと思って驚きました。

ただ、才に長け、不思議な術まで使う洪吉童、野に降ればやることなすこと思いどおりなのはそれはそれで恵まれてるわけで、最後は一国の王とか栄華を極めます。

いくつか種本があるようで2種類訳されてましたけど、話の筋は基本、同じなので退屈でした。うーん、わし的にはあんまりときめかないもんで。

あと許筠がいろいろな仙人みたいな師匠のこととかを書いた「異人伝」も掲載してますが、仙人って朝鮮でも流行ったんですかね。

むしろ許筠が、反乱計画に加わったとか訴えられて、四肢をばらばらに切り刻んで処刑され、50歳で死んだという事実の方が、何でもできて、理想の嫁ももらって、やることなすことうまくいく洪吉童より、よほどドラマチックだと思いました。

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キム=ジェンドリ=グムスク作。都築寿美枝・李吟京訳。ころから刊。

クラウドファンディングで購入したグラフィックノベルです。日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリーとあるように、「慰安婦」被害者のお一人、李玉善(イ=オクソン)さんの聞き語りという体裁を取っています。李玉善さんは2020年現在、いまだご存命ですが、もはや90歳と高齢で、それでもナヌムの家から2時間かけて、毎週水曜日の日本大使館前のデモに参加されることもあるんだそうです。
解説も込みで500ページ近くの大作で、筆で描かれたようなタッチは柔らかく、簡潔な描写です。序章と終章も含めて全17章とあり、李玉善さんが中国から帰国する序章、貧しい少女時代を描いた1〜5章、過酷な体験を綴った6〜11章、戦後と現在に至るまでを描いた12〜終章となってます。
グラフィックノベルというのはマンガと似てますが、「マウス アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語」なんかもそうで、わりと社会的な問題を扱うことが多いんだとか。まぁ、海外のマンガですわな。
ただコマ割りが単調で、あんまり大小つけないため、1ページに6コマ入ってるのはどう読んだらいいのか、わかりづらかったです。何で、ちょっと集中しづらかったです。この点、「マウス」のが読みやすかったです。まぁ、あれは台詞が多かったので順番に追いやすかったせいもあるんですが、この本は台詞は少なめなんで絵だけのコマも多く、作者はそれほど順番は重視していないのかもしれませんが、日本のマンガ読みは、そういうのは読みづらくてのぅ…

なんで、すげぇ大作読んだ!!!って気にはなりましたが、感動にはちょっと遠かったです (´・ω・`) ナジョシテコウナッタ

個人的にはナヌムの家にあるという女性の像に書かれていたのか託されたのか著者自身の言葉かわかりませんが「あなたも自分の作品のため私たちにあの悪夢を語らせるのか」という言葉が壮絶な体験を語るには日本人も韓国人も関係ないのかもなぁと思ったのがいちばん印象深かったです。だからといって、このクラウドファンディングで高額寄付者の特典にあった、被害者の方(たぶん、李玉善さん含む)に会いに行こうとも思いませんが。日本人がどの面下げて行くのかとしか。

本そのものは3000円と、この手の本にしてはお買い得なレベルだと思うんでお薦めです。

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訓民正音

趙義成訳注。平凡社東洋文庫刊。

ハングルの成り立ちと解例を綴った内容です。あと、形式的なんだか本気なんだかわかりませんが家臣の反対と現行の漢字音を正した書と3冊の本がまとめられてます。

その心は朱子学に則って作られており、どっかで「世界一、論理的な文字」とか読んだような記憶がありますが、ちょっと元ネタは見つけられませんでした。解説によると、朱子学自体が音と政治を結びつける学問だったそうで、「訓民正音」の解例にもふんだんにそのような解説が出てきます。

ちなみにハングルを作成した世宗(セジョン)は、朝鮮最高の王と讃えられ、そういやソウルには忠臣と名高い李舜臣(イ=スンシン)将軍と向き合って像建てられてましたわ。地下には二人の博物館もあったし…

あと、ソン=ガンホ主演で世宗の映画も昨年、公開されたんで、うまくいくと今年、見られるかもしれません。いや、見られるといいんじゃが… 共演はパク=ヘイルさんだそうなのでちょっと楽しみ。

そういや、家臣の反対(「崔万里等諺文反対上疏文」)では反対する理由の1つに「ハングル(この時点では諺文)が普及すれば将来、漢字が忘れられる」と言ってましたが、実際、現在の韓国では漢字はだいぶ使われなくなってるそうなんで、予想以上に時間はかかったけど、予想どおりにはなってきたような気もしますし、もっとも日本でもスマホの普及なんかで漢字が書けなくなった・読めなくなった人が増えたとか聞いたんで、ハングルだけが悪役ではないようにも思います。

あと「賢い者は朝の間に、愚かな者だとしても十日なら十分に学んで習うことができる」ってありましたけど、朝鮮の言葉を知らないとなかなか難しいのは、欧米のアルファベットに慣れ親しみ過ぎたせいなんだろうなぁと思いました。

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