平井和正原作。石ノ森章太郎画。扶桑社文庫刊。全2巻。
大昔、長編を読むのに凝っていたことがありまして、当然、「幻魔大戦(小説版)」も手を出したわけです。しかし、5巻ぐらいで挫折しました。だってつまらねーんだもん。出だしは数々の宇宙を滅ぼす幻魔との戦いってスケールのでかさだったのに、東丈が登場してから、急にスケールがミニマムに。なんで地球の命運を賭けた戦いが学校の同好会レベルに落ちちゃうのさ、とか思って読むのをやめました。結局、20巻ぐらいで「第1部完」とかなってたと思ったんですが、完結してないよね。完結しないんだろうね。
で、原作者に「全然違う」と言われた漫画版です。どー違うのか読みたかったので読んでみた。
典型的な打ち切り漫画でした… ラストは「戦いはこれからだ」じゃないけど、やっとエスパー軍団が集まってってところで敵が現われてジエンド。あれ〜、大昔、双子が出てくるような「幻魔大戦」の広告、見たことがあったけど、あれは別物かしら?
ええと、これも小説と似たような展開です。最初はスケールが大きく始まるのに、いざルーナがエスパーを集める段になるとスケールがダウン。しかもヒロインであるルーナはこちこちの白人至上主義だし、東丈はエスパーに目覚める前はへたれのシスコン(←ひどい)です。これでは人気でないだろう、いくら人気作家でも。
しかも途中でドク・タイガーという私利私欲に凝り固まったエスパーがルーナに取って代わるもので、いくらレイシストとはいえ、ヒロインがおっさんに代わってますので、さらにつまらなくなり、やっと丈が真の超能力に目覚めてからはもう残り頁が少ないという展開です。
なんだ、これ。キャッチコピーの「SFマンガの金字塔」って、嘘じゃん。
異星のサイボーグ戦士ベガは、風貌とか見てるとサイボーグっていうより、ロボットにも見えます。200年だか20年だか(漫画の中でも変わる)幻魔と戦い続けたけど、恋人が殺されたところで戦意喪失、しかしフロイによって地球に送り込まれ、ルーナの叱咤で戦士としてまた戦うことになります。人間味があって、いいおっさんだ。
そして、映画では確か美輪明宏が声をやったフロイが、漫画では犬です。セントバーナードみたいに大きなわんこ! こっちは強力なエスパーで、犬型宇宙人ぽかったのが地球に来てわんこに乗り移ったみたいな感じです。しかもフロイの息子たちが登場するんだけど、これも全部犬。101匹いたのは、石ノ森氏のしゃれでしょう。
さらに、ルーナの出身トランシルバニア王国から来たエスパーというか、動物憑きたち。蛇とか熊とか蝙蝠とかフランケンシュタインまでいます。しかも1000年も生きていて、殺そうとしても死なないという怪人ばっかり。足を失っても放っておけば生えてくるって。奇抜なキャラですが、ドク・タイガーなんかよりずっとおもしろかったので、早くこっちを出せば良かったのになぁ。
いろいろとがっかりな漫画でした。
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