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佐藤栄佐久著。平凡社刊。

副題が「つくられた福島県汚職事件」とあるように、著者は元福島県知事。twitterで評判が良かったので読んでみた。

実は福島県の知事が誰かなんて、わしは全然知らなかったので、この福島県の汚職事件もまったく記憶にない。それだけになかなか興味深く読みました。

前半は知事になるまでから始まって、知事時代にどのようなことをやったかや、支援者を集めた地道な運動について綴られる。特に福島の原発についての動きが詳しい。
後半になると小泉の構造改革に始まって、地方の分権を目指した動きが綴られるが、それは逮捕という形で急転直下の展開となる。

そして自白へ至る取り調べ。このおかしさは先日見た「BOX 袴田事件・命とは」とも共通する胡散臭さがあり、日本の司法制度が、信頼に値しない、自分たちのシナリオに沿った罪をでっち上げる代物だという虚偽に満ちている。
しかし、著者は足でもって発掘し、自らの信念を伝えて得た何千、何万という支持者を今度は人質に取られたことで苦しみ、ついには嘘の自白をしてしまう。

と、ここら辺まで読んだ時、「黒旗水滸伝」の孤独なテロリスト難波大助を思い出しました。自らが体験した貧困と差別の問題を、ただ1点、最高位にある天皇(当時は皇太子)ヒロヒトを撃つことで片づけようとした難波大助。彼は誰とも徒党を組まず、妻も持たず、家族とも縁切り同然で孤独に戦った。それはまさに、このような事態を考えたからだったのではなかろうか。大逆という事件を起こすのに、つながりを持つことは己の弱さにつながるという発想ゆえに、彼は一人で立ち、一人で事件を起こした。それは大多数の人間が組織にいることで安堵し、仲間がいることを心強く思い、そういう構図とは相対するもので、だからこそ、大助の存在は「黒旗水滸伝」という異色作の中でも特別の輝きを発しているのではないかと。

けれど、嘘の自白をした著者は、裁判でその証言を覆し、無罪を主張。敏腕弁護士のおかげで検察の嘘をついたけれど、裁判所のくだした判断は喧嘩両成敗というか、実質無罪だけれど有罪という判決を受け、控訴したとある。2010年現在、まだその答えは出ていない。

福島県知事という地方自治体のトップさえ、簡単に葬る検察の怖ろしさ。検察のやることだから、とその正義を鵜呑みにしてしまう国民。もっとよく読まれるべき著書だと思った。

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