監督:ジョン=フォード
出演:ボブ(ジョン=ウェイン)、ペドロ(ペドロ=アルメンダリス)、キッド(ハリー=ケリー・ジュニア)、スウィート保安官(ワード=ボンド)、ほか
1948年、アメリカ
原題が「3 Godfather」といいまして、「東京ゴッドファーザーズ」って映画、ここから来てたのね。と思ったら、ほかにも「赤ちゃんに乾杯!」とか「スリーメンズ&ベビー」とかもインスパイアされてるらしいです。
そして、この映画そのものがジョン=フォード監督が1919年に撮った映画がオリジナルとなっていて、冒頭に「ウェスタン映画の初期のスター・ハリー=ケリーに捧ぐ」みたいなテロップが出るのは、そのハリー=ケリーという人がオリジナル作に出ており、その息子さんがキッド役だったりするからだそうな。へぇ。
ボブ、ペドロ、キッドの3人はアリゾナの町ウェルカムで銀行強盗を働いた。保安官スウィートに先手を打たれ、線路沿いの水を押えられた3人は、町の北の泉へ向かう。だが、そこは最後に立ち寄った男が泉をダイナマイトで爆破して枯らしてしまっており、残された彼の妻が臨月を迎えていたのだった。彼女の出産に立ち会い、赤ん坊を託された3人は、聖書に従ってニューエルサレムの町へ向かおうとするが…。
わりと勧善懲悪のヒーローをやることが多いジョン=ウェインには珍しい悪役ですが、そこはジョン=フォード監督ですから、単純な悪役は振りません。赤ん坊を産んで亡くなった母親との約束を守って、仲間の2人と赤ん坊を助けるために奮闘します。しかし、キッドがまず、保安官に追われた時に撃たれた傷がずっと治らずにいて、無理な旅がたたって亡くなり、ペドロも足を骨折して進めなくなり、自ら命を絶ちます。最後に残ったボブが赤ん坊を抱いて進むわけなんですが、ここでキッドとペドロの幻をボブを励ますという展開はジョン=フォード監督とは思えないファンシーさ。いや〜、こういう展開、する人だとは思わなかったよ。
で、その赤ん坊のお母さんというのは、実は3人が銀行を襲う前に立ち寄ったスウィートさんの奥さんの姪だったりしたんですな。でも、「クリスマスまでには来ると言っていたのに来ないわ」と心配していたように、泉で立ち往生(もっとも、これは彼女の夫が泉をダイナマイトで爆破するというど阿呆なことをしでかしたからでもあるんですが)しちゃってたわけでした。
彼女は自分の出産を助けてくれた3人に感謝して、赤ん坊にロバート(ボブの本名)=ウィリアム(キッドの本名)=ペドロと名づけまして、そこからタイトルとなるわけです。
それにしても、ボブ、ペドロ、キッドの3人とも、瀕死の妊婦を前にして、優しくなるあたり、基本的に悪人ではありませんが、冒頭では銀行強盗をやらかしてます。どうも話しぶりから察するに牛泥棒ぐらいはやったみたいですし、キッドは手配書まで出回ってますので、根っからの善人でもないけど、ちょっと乱暴なカウボーイが、うっかり途を踏み外してしまった、ぐらいの感じなんでしょうか。
ただ、Wikipedia見てると、ボブがニューエルサレムに到着するのがクリスマスだし、元々クリスマスの興行に合わせて映画も公開したらしいし、ここは赤ん坊をイエス・キリストと考えると、ボブたちは贖罪された、という解釈も成り立たなくありません。そのためにキッドもペドロも倒れたっていうか。そう考えると、フォード監督らしからぬファンシーな展開も、宗教的と思えば、神に救われて天国に行った2人がボブを救おうとする、みたいに読めなくもないっていうか。
フォード監督って、もっと硬派な映画を撮る人だと思ってたわ〜
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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