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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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チェ28歳の革命

監督:スティーブン=ソダーバーグ
出演:エルネスト=チェ・ゲバラ(ベニチオ=デル・トロ)、ほか
見たところ:ワーナーマイカル茅ヶ崎

ゲバラ2部作の1作目。本編の開始前に、短いニュースが流れて、ゲバラの人となりをちょっぴり紹介しますが、蛇足な気もする。だって、ゲバラを知らないでこの映画を見に来る人がいるとも思えんし、来ても、ゲバラを知るためにこの映画を見るのでは? この映画でゲバラの人となりを紹介できんのなら、それこそ、映画として失格では?

革命戦争当時のゲバラと、革命が成功し、ゲバラがキューバ(と日本語では書きますが、作中の発音を聞いていると「クーバ」と言ってます。スペイン語だから、でなく、英語圏の人も「クーバ」と言ってるように聞こえるので、「クーバ」と表記するのが正しいのかもしれませんが、そこらへんはいい加減な日本語だからな)の代表として国連で演説したり、アメリカのラジオでインタビューを受けたり、という10年を隔てたゲバラが交互に流されるので、大変筋がつかみにくいです。
映像は1950年代がカラー、1960年代が白黒と分かれているのですぐにわかりますが、こう、交互に流すのはどういう意図があったのかと。

思うに、ゲバラは「20世紀最大のカリスマ」と言われ、今でもよくシャツの題材になったり、「モーターサイクルダイアリーズ」とかってタイトルの若き日のゲバラ主演の映画が撮られたり、と人気があります。ちなみに「モーター云々」の映画はたきがは未見なので、ノーコメントです。主演はガエル・ガルシア・ベルナル。
主演のベニチオ=デル・トロは、けっこうゲバラに似せてると思いますが、すんません、本物のがずっとかっちょいいです。いや、映画を見ているとだんだん錯覚してくるぐらい、そっくりさんではありますが、でも本物のがずっと格好いいんです。つまり、この「チェ28歳の革命」という映画は、ゲバラがいかに格好いいかを描くための映画ではなかったかと思ったわけです。
ゲバラが今も褪せない魅力を放っているのは、やはりその徹底した平等主義と飽くなき理想を追い求め、ついにボリビアの地で殺されてしまったということと、作中でも描かれる潔癖な戦士像ではないかと思います。つまり、ゲバラ、格好いいぜ、いえ〜!ちゅうことが、監督は言いたかったんでないかと。
そう、今でこそ米帝国主義を疑う人はそうそういないと思いますが(それでも昨日、第44代大統領にオバマ氏が就任したから、これからどう変わるかわかりませんが)、1960年代、アメリカは徹底的に中南米に干渉し、自分たちに都合のいい政権を応援していた。ニカラグアしかり、パナマしかり。「エル・サル・バドル」なんて映画もあったし。そうしたアメリカの走狗となった国とゲバラが国連で交わした演説、アメリカ大使の途中での退席や、ゲバラの演説が終わった時に各国から送られた拍手とか見てるとわかるように、ゲバラはどこまでも格好良かったんです。

でも、この映画を見て、ゲバラ、格好いいぜ、いえ〜!と言いたくなるかと言うと、1960年代の国連でのゲバラは格好いいのだが、1950年代のゲバラの格好良さは、うーん、ちょっと難しいかも。キューバに上陸してから、カストロらとゲバラの戦いが始まるんですが、話が断片的にぶちぶち切れてしまうので、なかなか格好良く見えない。だいたい、個人戦なんてものが存在しない現代の戦闘において、指揮官たるゲバラを格好良く見せるのはなかなか難しい。戦いっていったって、個々の兵士もあるし、指揮官てあんまり動かんし。
ただ、戦争というと、どうしても旧日本軍の醜さが頭から離れないたきがはにとって、戦闘員として、診療所にも女性がおり、特に問題が起きることなく戦っていた、という事実はもう少しクローズアップしても良かったんじゃないかと思う。戦争といったら、男の世界だったのは古今東西変わらないはず。女性は参加しても看護婦という形、最悪の場合、慰安婦という形で、男たちにとっての従でしかなかった。癒し(肉体的な意味でも性的な意味でも)しか女性には求めていなかった。でも、キューバの革命戦争では、女性も銃を取り、女性に文字を教わる男性たちが出てくる。それはゲバラの功績ではなく、共産主義のためかもしれないが、それはゲバラという主題から外れてしまうかもしれないが、共産主義というだけでキューバ革命を否定する人がいるのなら、こんなに平等に男女が扱われることもあるのだと言うことはできなかったのだろうかとか関係ないことを思ったりする。

ラスト、革命戦争で重大な役割を果たしたというサンタクララを落としたゲバラたちは、ついに首都のハバナへ向かう。その時、隊に参戦した若い兵士が、いかにもな高級車に乗っていこうとするのをゲバラは毅然と止める。「それはおまえのものではない。すぐにサンタクララまで返しに行け。そして、ハバナへは歩きか、バスか、ジープで行くのだ」と言って。勝者だからと見過ごされてきた暴力にもゲバラはその姿勢を変えなかった、という意味では良いエピソードだと思ったよ。

この後、第2弾が公開予定。さて、第1弾で「ゲバラ最高〜!」と思ってくれた人はどれだけいて、第2弾まで見に行こうという人もどれだけいるのか気にかかるところ。それが多ければ多いほど、この映画は成功と言えるんじゃないかな。

ゲバラについてはWikiも見てちょ。この写真がよくTシャツになってる有名なやつだ。

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