監督:アモール=グプテ
出演:スタンリー(パルソー)、アビシェーク(アビシェーク)、アマン=メヘラ(ヌマーン)、モンティー(モンティー)、ヴァルマー先生(アモール=グプテ)、ロージー先生(ディヴィヤ=ダッタ)、アイヤル先生(ディヴィヤ〜ジャグダレ)、校長先生、ほか
2011年、インド
クラスの人気者スタンリーがなぜかお弁当を持ってこない。そのことを先生に咎められたスタンリーは学校に来なくなってしまった。なぜ? スタンリーに何があったの?
という感じでこの映画が紹介されてまして、インド映画には珍しく、ミュージカルでもないし、派手なスターもいないということでしたが、チラシに写っていたスタンリーくんが可愛かったもので見に行きました。
ところで「
インド発の可愛い映画」ってキャッチコピーはやめませんか? この映画の本質を見誤ることになるのではないかと思うのですが…
というのもですね、中盤までは確かにスタンリーと友人たちの友情という感じで微笑ましく見ていたんですが、ラスト、やっとスタンリーがお弁当を持ってきて、念願のコンサート(スタンリーが通っているのはキリスト教系の学校でスタンリーも熱心な信者です。まぁ、これにも裏があるんですが。で、学校の支援団体が歌の上手い子どもを集めて催した慈善コンサート)に出た時にも、歌や踊りが得意なスタンリーですので、微笑ましいわけなんですけど、それが、ずーっとスタンリーの家って出てなくて、両親も働きに行っちゃったと言っていて(それでお弁当が持ってこられない。しかし、日々の食事はどうしているのかは誰も突っ込まない)、でも実は、そんな理由じゃなかったんだと知らされる時、観客は初めて、この映画が本当に言いたかったことは、スタンリーのような児童労働(それも夜中まで働かされる)についての提言だったんじゃないの?と思ったわけなのでした。
つまり、ネタバレになりますが、スタンリーの両親はとっくに亡くなっており、スタンリーは飲み屋を経営する叔父に引き取られ、こき使われているのです。だから、日曜日にコンサートに行って、帰りが遅くなった時に「日曜日は混むと言っただろう!」と言われてびんたを喰らっている。
スタンリーの美味しそうな4段のお弁当を作ってくれていたのは、実は店で働く料理人アクラムが詰めてくれた残り物だし、夜中まで働かされたスタンリーは皿を片付けたところに寝ているし、と驚くような事実が続々と。
でもスタンリーは学校に行けば、お母さんに作ってもらったと自慢し、友だちと笑っています。4年生と言えば、まだまだ甘えたい盛りでしょうに、とうに世間を知ってしまったスタンリーはそれでも笑って毎日を過ごしているのでした。
食い意地の張った教師ヴァルマーが監督で、スタンリー役の子の実のお父さんだとは公式サイトを見るまでわかりませんでした。
微笑ましくて、温かくて、でも最後は切ない映画。これは見逃さないで良かったなぁと思いました。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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