がびちょ〜ん! とうとうこの時が来てしまいました!
あれ、そういや、五右衛門、助左と一緒になってからは、あんまり盗賊らしいことはしてません(助左曰く「俺たちは海賊だ」そうですが)。五右衛門は五右衛門なりに、助左との生き方を楽しみ、五右衛門にしかできないやり方で助左を支え、助け、また助けられてきたのです。それはもしかしたら、野盗なんてみみっちいことをするよりも、ずっと痛快なことだったのかもしれません。我が人生に悔いなし、いやきっと、最後の最後で剣が届かなかったことを、五右衛門は悔いつつ、堂々と釜ゆでにされたのでした。
日本に戻った助左右衛門は秀吉がまたの朝鮮遠征を企てていると知り、待ち伏せるが、秀吉の発病で不発に終わる。それでも秀吉を討つことを諦めきれない助左右衛門に、五右衛門は野盗時代の5人の手下を連れて、袂を分かつ。だが、それは助左右衛門に害を及ぼすまいとする五右衛門の策であり、彼は部下たちとともに伏見城に侵入し、秀吉暗殺を計画するが、あと一歩のところで未然に防がれてしまう。五右衛門は天下の大盗賊として釜ゆでの刑に処せられる。そうと知った助左右衛門は、禁忌を破って、礼拝堂の鐘を高らかに鳴らすのであった。
増田長盛がまた出てきました。どうやら、秀吉に取り立てられた模様です。しかし、堺奉行の石田三成は、長盛の口出しに怒り心頭、ここでつい謝っちゃうところが長盛の小人物ぶりです。
しかも、三成、五右衛門が捕まっても、助左の捕縛には動きません。さらに、助左が鐘を鳴らしても捕まえに行きません。行かせません。なんというか、狂人・秀吉1人に振り回されている感じです、日本中が。あるいはフェリーペ号までが。でも、秀吉を下ろそうにもいるのは幼い秀頼だけのはず、しかも一代で成り上がった太閤ですから誰も手が出せません。三成、歯ぎしりしまくってそうです。
その鐘とは、かつて日比屋了慶に頼まれた鐘でもあり、五右衛門にとっては、鐘が鳴るたびにモニカの亡霊が現れる鐘でもありました。また、堺に育った助左や美緒にとっては、子どもの頃から聞き慣れた鐘でもありました。堺から七条河原の刑場まで、鐘の音が届くはずはないのですが、五右衛門は「モニカ、迎えに来てくれたのか」と言って、笑って釜に落ちていくのでした。
その前、五右衛門が助左に部下にやめたがってる奴がいると言い出すシーンから、もう助左に迷惑をかけましとして、無理に袂を分かとうとする五右衛門に涙うるうる。わざと「おまえにはついていけない」と言う五右衛門。その心中を慮れない助左。五右衛門がこういう道を選んだのは、きっと助左が秀吉と戦えば破滅するのがわかっていたからでしょう。そうなれば、ただ一人、堺のために自由貿易を守ろうとがんばっている人がいなくなってしまいます。自由への道が閉ざされます。それほど、この時の日本は秀吉のために閉塞状況にあったようです。だから、五右衛門は自分にできることをした。助左を助けるため、この状況を打ち破るため、自分にしかできないことをしようとした。その友情に泣けるのです。五右衛門が連れて行った部下たちは、野盗時代からの生き残りでしょう。ずっと名前が出てたけど、あんまり固有名詞で呼んでくれなかったもので、誰が誰やらわかりませんでした。ごめんちゃい。ラスト、ついに伏見城に潜入した五右衛門たちは、最後の打ち合わせをして、「地獄で会おうぜ」と言って、発ちます。目指すは秀吉ただ一人、そのためには有象無象と沸いてくる護衛たちを打ち倒していかねばなりません。五右衛門に秀吉を討たせるため、一人ずつ、手下たちが倒れていきます。弁慶の仁王立ちよろしく、剣を突き立てられ、血を流しながら、彼らは五右衛門を先へ行かせようと奮闘するのです。でも、あと1枚のところで五右衛門は捕らえられてしまい、秀吉の声を聞きながら、届かせることができませんでした。その無念さ、その悔しさ…
さらに、五右衛門は拷問にかけられ、誰が首謀か吐かされたのでしょう。ここは五右衛門ただ一人がお白州にいるという演出。決して助左の名は出さない。船に乗っていたこともおくびには出さない。ふてぶてしく応える五右衛門。その格好良さ。
助左は堺で真相を知ります。五右衛門がなぜ別れを告げに来たのか、その本当の目的、かわせなかった別れの杯。けれど助左は逃げません。そうと知ってか、三成も手を出しません。堺に帰ってきた助左たちに見張りはつけますが、手は出しません。上のように、長盛に怒りさえ見せます。
その長盛が、秀吉の寝所を守ってるんだよ。こういう、取り入るしか能のない奴が、秀吉を狂わせ、この国を狂わせていたんだろうと思います。原田喜右衛門とか。加藤清正も、この話ではそういう扱いかも。本当にこの国のことを心配しているのも、秀吉のことを案じているのも、もう秀吉には届かないのです。信長の配下だった時はそういう人ではなかったのですが、いったいどこで、この人は狂ってしまったのか、やはり権力を手に入れてからか、明智光秀を討って以来か、といろいろな思いも去来します。
助左の分も五右衛門の死を見届けに行くお仙ちゃん。彼女に南蛮酒を託す助左。あの時交わせなかった別れの杯です。五右衛門にもそれは伝わったようです。だからこそ、五右衛門は自分の足で歩いて釜まで行き、自ら身を投げました。あっぱれな最期でありました( ´Д⊂ヽ
お仙ちゃんが、久しぶりに善住坊の夢を見たと言いました。堀に水がないことを悲しがって、助左や五右衛門に頼めば何とかしてくれると言っていたといいます( ´Д⊂ヽ 生前の善住坊らしからぬ、図々しい物言いです。でも、あるいは善住坊なら、そうやって、他人の善意というものを信じていたのだろうなという気もします。
しかし、お仙ちゃんがいきなり善住坊の話をしだすものですから、まさか、彼女も近々死んじゃう?!とか心配しましたが、まだ大丈夫な感じ? せめて、堺の堀に水が戻るまでがんばってもらいたいのですが、こうなると、彼女を呂宋に連れて行くという助左の約束はかなわないことになりそうですな。
この回は、何しろ五右衛門に尽きます。最初から最後まで見せてくれます、五右衛門。
そして助左は美緒から、パーデレ・フロイスが亡くなったことも知ります。助左の周りでいろいろな人が亡くなっていってしまっています。でも助左と美緒は、最後まで残るのだなぁ。あと宗薫もか。
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