堺の奉行所に呼び出された助左右衛門は、石田三成から太閤が長くないことを知り、見舞いに伺候するが、秀吉から追放命令を受ける。しかし、三成の配慮や、美緒の協力により、呂宋に追放された助左右衛門は、自身の財産を持っていくことができた。秀吉は新たに五大老に徳川家康らを任じるが、やがて没する。一方、助左右衛門はフィリピン人を名乗る人びとの襲撃を受け、原田喜右衛門がまだ人身売買をやっていること、フィリピン人とはタガログ人でも日本人でもない、この呂宋中の人びとであることを知り、彼らに協力することにした。
やっぱり、三成はいい人です。今や、すっかり敵同士となった助左と秀吉、その助左に秀吉も先が長くないから見舞ってくれとお願いするあたり、気配りの人であります。ただ、三成はあくまで秀吉の部下であり、秀吉あっての奉行であるという気がしますので、これから関ヶ原の合戦で家康と敵対することになるけれど、そういう頭に担がれるような器ではなかったような描き方です。人の上に立つより、誰かに仕えて才能を発揮するタイプといいましょうか。
しかし、思わず三成の説得に心打たれた助左、秀吉をお見舞いしますが、その場で秀吉に追放を命じられます。秀吉のしてきたことを思えば、殺されないだけましっていうか、でも、何を書いているのかと思いきや、助左を招いて渡した紙に「追放を命じる」とは、その後の秀吉の憎々しい笑顔に、病床とはいえ、太閤健在って感じです。やっぱり緒形拳さんはすごいなぁ。
で、ついに日本から追放されることになった助左でしたが、上のとおり、追放先は呂宋で、財産は今井家が運ぶと、まったく恵まれておりました。三成くん、助左にはとことん友情を示すのだなぁ。
ここで、美緒と三成が会話をしていますが、美緒の助左への変則的な想いが言葉の端々に表れて、切ないのでした。ほんとは小太郎じゃなくて美緒が行きたかったろうに。今度こそ、助左と一緒になりたかったろうに。もはや、美緒は助左とは現世では結ばれぬことを覚悟し、その上でのキリシタンなのかな〜と思いました。
小太郎、すっかり船長を任せられるだけの度量を身につけた模様です。かつては一家を離散させたと助左を恨んだのに「母も連れてきてください」と助左にお願いしちゃうあたり、大人になったな〜と思いました。がんばれ、小太郎。美緒を支えてやってくれ。
で、久々に登場の家康。丸くなったな、おっさん。いや、肥えたってことですけど。秀吉が天下統一に朝鮮遠征と汲々しているあいだに、自分は静岡で蓄えたって感じです。その家康に荷担する宗薫。家康に「江戸に来ぬか」と言われて、まんざらでもないようですから、彼には堺を守る気は毛頭ないわけですな。
ただ、堺を守る云々は、堺に生まれ育った助左や美緒だから思うのであって、他の町の人にはどうでもいいと思うのですが、権力者に迎合して生き延びようとする宗薫というのはやっぱり好きになれないのでした。
そして、フィリピン人を名乗る人びとが助左の船を襲いにかかります。が、撃退。伊達に海賊は名乗っていませんでしたね、助左も。小太郎も危なっかしいけど刀を振り回して応戦。ここら辺は五右衛門とその部下たちに鍛えられたのでしょう、きっと。そう、五右衛門たちがいついなくなっても大丈夫なように。
ところで、準レギュラーの弥次郎が、登場時からずっとじいちゃんなんだけど、助左が「戦うぞ」と言えば、おうと勇ましく応じるあたり、意外と元気なおっさんです。今は弥次郎しか助左のそばにいないのが寂しいですが。
で、フィリピン人の事情を知って、原田喜右衛門の登場に噴飯やるかたない助左。原田を討とうと決意します。まだ生きていたのか、喜右衛門。単に、日本、というより秀吉に寄りつかなくなっただけだったのかも。
しかし、いよいよ年貢の納め時か?
秀吉の死で日本がまた大きく揺れ動きます。いよいよ、最終章の開幕です。
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