東篠仁著。マンガ図書館Z。全4巻。
日本で五指に入る詩浄院財閥のお嬢様サラサと彼女に仕える執事・衛藤、サラサの護衛を務めるフットマン(召使い)らの日常というか、箱入りなお嬢様のサラサの世間とのズレと彼女に輪をかけたようなズレっぷりを見せる執事とのギャグと見せかけて、20歳になったら顔も知らない相手と政略結婚を決められたサラサと衛藤、フットマンらのタイトルどおりのさまざまな「闘い」を描いた人情漫画。
最初はサラサと衛藤の天然ぷりに「しょうがないなぁ」と苦笑いしつつ、サラサの上記のような事情やその生い立ちと衛藤との出会い、フットマンたちとの触れあい、さらには母の遺言どおり「世間を見るべき」との思いから始める1週間ほどの短期バイト先での一般民衆との触れあいなどを読んでいくうちに、天然に見えていたサラサの行動や考え方が彼女なりの価値観の上に築かれていることがわかっていき、いつの間にかサラサや衛藤を応援したくなってくる不思議な漫画です。
掲載誌が「漫画ゴラク」とマイナーな青年誌だったことが災いしてか、まるで聞いたこともないタイトルでしたが、中身は正当な人情派で、サラサの成長なんか頼もしかったりします。
全4巻と短めですし、終わり方が典型的な打ち切り(俺たちの戦いはこれからだ!的な)ですが、ここで終わらせておくのが美しいのかも。「藤山寛美みたいな」という感想を見ましたが、まぁ、そんな感じのおもしろさでした。
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