デイヴィッド=ハルバースタム著。山田耕介・山田侑平訳。文藝春秋刊。全2巻。
原題は「The Coldest Winter」。アメリカの作家でジャーナリストの著者が10年かけて著わした力作です。
多分に朝鮮に同情的だったブルース=カミングス氏の著書に比べると、ずいぶんアメリカ寄りだと思いました。アメリカ寄りなんで、アメリカが朝鮮戦争に踏み切るまでとか、マッカーサーやトルーマンだけでなく、権力にかなり近いところにいた様々な人物にも焦点を当てているので、中国の人民解放軍が参戦したところから始まってますけど、後はずーっと戦争前と戦争中で、共産側の反撃は下巻に持ち越しです。
アメリカ人の視点ですが、わしが最近思うようになった「楯突かなければアメリカは別に大日本帝国を潰そうとはしなかったろう」というのは確定的になったようです。主に太平洋戦争での戦闘なんかが理由だったりしますけど、アメリカ人は敗戦国ニッポンには同情的ですが、植民地で辛酸をなめさせられた朝鮮のことは理解しようともしてません。まぁ、大陸でソ連や中国と接している朝鮮よりも島国で共産主義に対する橋頭堡として役に立つニッポンのが大事のようで、敗戦後、アメリカを真似して、アメリカを含む西側諸国に追いつけ追い越せのニッポン人にもだいぶ共感していたらしいのが読めます。
続きは下巻で。
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