監督:マノエル=ド・オリヴェイラ
出演:ジェボ(マイケル=ロンズデール)、ドロティア(クラウディア=カルディナーレ)、ソフィア(レオノール=シルヴェイラ)、ジョアン(リカルド=トレパ)、カンディア(ジャンヌ=モロー)、シャミーソ(ルイス・ミゲル=シントラ)、ほか
2012年、ポルトガル・フランス合作
見たところ:川崎アルテリオ・シネマ
クラウディア=カルディナーレさん、ジャンヌ=モローさんというイタリアとフランスを代表する大女優が出るんで、母が公開直後から気にしており、新百合ヶ丘に来たところで行ってきました。
ポルトガルの田舎町。老いた帳簿係のジェボは妻のドロティアと養女で息子の妻であるソフィアとつましく暮らしている。ジェボの息子ジョアンは、8年前に家を出たきり、泥棒をしたり、刑務所に入れられたりしているが、ジェボとソフィアは息子を溺愛するドロティアに真実を話さず、ジョアンが元気だとごまかしている。そんなジョアンがうちに帰ってきたが、彼は両親や妻に謝罪するどころか、そのつましい暮らしぶりを負け犬だと罵り、挙げ句の果てにジェボが持ち帰った会社の金70万レアルの大金を盗み出してしまうのだった。やがてやってきた警察に、ジェボは家族を守るために嘘をついて、自分が金を盗み出したと言うのだった。
元々は舞台劇だったようで、場面転換がほとんどありません。基本、ジェボさんちの居間というか、後は台所と夫婦2組の寝室しかない貧しい家のようなんで、大きなテーブルがある部屋に限られます。
そのテーブルでドロティアとソフィアはジェボやジョアンの帰りを待ちわび、帰ってきたジェボは帳簿をつけながら(それにしては電卓も使わず、2桁の計算をやっているだけなんですが)ドロティアやソフィアの入れてくれた珈琲を飲み、友だちのカンディアやシャミーソと話します。
ただ、基本的には上の粗筋にも書いたようにジェボとソフィアはジョアンの犯罪についてドロティアに秘密にしていますから、前半はそのジェボとソフィア、あるいはジェボとドロティアの煮え切らない会話が中心で退屈で退屈で船を漕ぎかけました。ぐ〜…
カンディアやシャミーソが来たところでやっと話が動くんで、その頃にはジョアンも帰ってきてますし、まあまあおもしろくなるんですけど、この頃にはジェボがドロティアに息子のことをちゃんと話さないのでいらいらしてきまして、2人とも演じた俳優さんが70、80とかなりのご高齢なもんで、ジョアンもそれなりに歳を取っていると思うんですよ。まぁ、甘いのは歳を取ってからの子ども、という裏設定があるのかもしれませんけど。ただ、そういう親の甘やかしがジョアンを悪の道に走らせたのだとしたら、それはやっぱり親は責任とは言わないけれど、自分の罪と向き合わなければいけないと思うんで、ドロティアにジョアンのことを誤魔化すのは良くないと思いました。
なもんで、ジョアンが金を盗んで、ドロティアが毎日、泣いているという展開に至っては、やっぱりジョアンのしたことを言わないジェボにいらいらして、ラスト、ドロティアのためにジョアンの罪をかぶるジェボという展開も、ぽか〜んと置いてけぼりを喰らったような気持ちにしかなりませんでした。
監督が105歳と高齢で、それでも毎年、精力的に新作を発表しているそうなんですが、何が言いたかったのかわかりませんでした。ぶっちゃけ、お父ちゃん、あんたの教育は間違いやと。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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