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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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日本の原爆文学13 詩歌

ほるぷ出版刊。

昨年だったか、栗原貞子さんが亡くなったという記事を読んだ時に、「生ましめんかな」の作者さんだと聞いて、読んでみたいと思っていたんですが、詩集とか全部絶版で手に入らなかったんですよ。

で、ふと図書館で見つけて、これなら入ってるんじゃないか!と思ったら、びんごでした。逆に、峠三吉さんの詩は1つも入ってなかったんで、詩集とかにまとまってない詩、短歌、俳句、川柳をまとめた1冊なのかと思いました。

生ましめんかな

栗原貞子

こわれたビルディングの地下室の夜だった。
原子爆弾の負傷者たちは
ローソク一本ない暗い地下室を
うずめて、いっぱいだった。
生ぐさい血の匂い、死臭。
汗くさい人いきれ、うめきごえ
その中から不思議な声がきこえて来た。
「赤ん坊が生まれる」と言うのだ。
この地獄の底のような地下室で
今、若い女が産気づいているのだ。

マッチ一本ないくらがりで
どうしたらいいのだろう
人々は自分の痛みを忘れて気づかった。
と、「私が産婆です、私が生ませましょう」
と言ったのは
さっきまでうめいていた重傷者だ。
かくてくらがりの地獄の底で
新しい生命は生まれた。
かくてあかつきを待たず産婆は
血まみれのまま死んだ。
生ましめんかな
生ましめんかな
己が命捨つとも


以上、116ページより引用。

栗原貞子さんはほかに「ヒロシマというとき」という印象的な詩も掲載されていて、部分的ですが引用させてもらいますと、

〈ヒロシマ〉といえば
〈ああ ヒロシマ〉と
やさしいこたえがかえって来るためには
わたしたちは
わたしたちの汚れた手を
きよめねばならない


以上、130ページより引用。

この詩に書かれたことは、今の日本、やはり満たしていないし、むしろ悪化していると思います。恥ずかしいことだと思います。

この2編の詩だけで、満足っちゅうか、腹一杯ちゅうか、読んだ甲斐があったっていうか。13なので、12まであるんだな。読んでみようと思いました。

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