トンド族の掟で、戦以外の時に人を殺そうとした咎で腕を切られそうになる五右衛門を助左と善住坊は庇う。五右衛門は2人から離れようとするが、善住坊は彼も一緒にいたいのだと言う。その言葉どおり、3人は一緒に暮らすようになり、トンド族の少年を鮫から助けたことで、ようやく長に認められ、家まで建ててもらう。年明けて春、美緒と兼久の婚姻で賑わう今井家と同様、善住坊もノーラとの結婚を控えていた。そこに、五右衛門が南蛮船が沖に泊まっていると告げ、助左はもちろん、帰れば死しかない善住坊もともに帰ることに。助左たちを「土産を持っていかないつもりか」と温かく送り出すトンド族の人びと。助左は再度の来訪を誓うが、それには10年の歳月がかかったことを、今はまだ知るよしもない。
ええ、たきがは、「黄金の日日」ではいちばん好きなキャラは五右衛門だったはずなのですが、だんだん善住坊に傾いております。なんでだ〜ッ?! わしは
天下御免の面食い?! 何で助左でも五右衛門でもなくて善住坊?!
それは、どうやら、わしも歳を取りまして、善住坊の庶民っぷりがあまりに切ないからなのかもしれません。いや、見ているとわかるんですけど、この呂宋島編で生涯の友情を結び合った助左、五右衛門、善住坊の3人のうち、助左は後に呂宋助左右衛門として名を馳せる大商人になります。3人の中では唯一、最後まで生き残るキャラでもあり、結果的に堺は失いますが、逆に世界を股にかける大商人として、日本を出ていきます。商人としては言うことないでしょう。ここまでスケールの大きな人物は同時代の日本人にもいるものではありません。ご立派です。
そして五右衛門、ご存じ、天下を騒がす大盗賊になります。時の太閤秀吉に楯突き、ついには釜ゆでの刑に処されてしまったのは史実なんだか伝説なんだかわかりませんが、泥棒としては大物、天晴れな最期です。釜ゆでシーンなんか、本作中、白眉の演技だと思います。私、これで五右衛門にすっ転びました。殺されるシーンで転ぶのも何ですけど。
この2人に対して、善住坊って、何で殺されちゃったのか忘れたけど、最後まで庶民なんだよね。このパワーというか、精神が今回の話では溢れてるんですよ。五右衛門に殺されそうになっても、「わしにはわかる。五右衛門は迷っておった」と言って許してしまう優しさ、憎みきれない弱さ。命を狙った五右衛門に助けられ、「五右衛門がいなかったら駄目だった」と言う強さ。勇者としてトンド族に認められ、人目を憚ることなく泣いてしまうもろさ、五右衛門をして、「こっちまで湿っぽくなる」と言わせた涙、つられないか? 苦節ンヶ月、親を同じ日本人に殺された人についに認められた嬉しさ、一緒に泣かなかったか? 殺されるしかないとわかっていても、堺の土をもう一度踏みたい一心で帰りたいと言う気持ち。ノーラに「わしもまた来るけん」と安直に約束してしまう優しさと弱さ。これらのシーンでいちいち、善住坊の庶民ぷりといいますか、あとの2人に比べるとスケールが小さいんだけど、わかるわかるって頷く共感っていいますか、その、最後には笑うしかないって善住坊の笑顔が切なくて愛おしくて、現実にこの3人いたら、わしは間違いなく善住坊にすっ転ぶなと思ったわけでした。
だから、3人の中で善住坊を選んだノーラは天晴れであり、男を見る目があるなとも思い、逆にいちばん危うい気もするし、最後は処刑されちゃったわけなんですけど、最後まできっと善住坊は好きなキャラであるんだろうと思ったりしたのでした。
3人の中で善住坊だけが唯一、歴史上の人物でないというポイントも高いかも。
一方、堺では美緒が兼久と結婚させられます。そうか、そういう展開だったか。忘れてましたわ。しかし、兼久は「生涯、兄という以上の感情は持たない」と梢ちゃんに言い訳っちゅうか、本音も半分あるんだろうけど、何かこういうシチュエーションで言われても真剣みが薄いっていうか。おまえ、美緒よりも梢のが好きなだけだろうとか、思ったりしなかったり。この人もそれなりに気の毒ではあるのでしょうが、あんまり同情できないのは、それでも親父の傘から逃げない、抜けないという、あくまでも反抗止まりな点でしょうな。
で、気の毒なのは美緒で、すっかり腑抜けになってしまいます。しかも、前回(前々回だっけ)求婚した小西くんは、美緒の頼みを蹴ったとか。うーん、美緒の頼みを聞きやすくするために求婚したんじゃなくて、単に美緒が好きになっただけだったのか。腑抜けめ。
モニカがよよと嘆くのは、実は小西くんが好きだったからでしょうか? うーん、もうちょっといい男を好きになれよ。こんなおぼっちゃんでなく。五右衛門にしろとは言わないからさ。
でも、死んだと思われていた助左たちが次回では帰国できそうです。五右衛門は宗久の命令を果たせなかったし、善住坊は命が危ないし、波乱はありそうですが、美緒は復活しそうですね。助左のこの時代の人間とは思えない奥手ぶりも一歩進むか?(←なんてお下品)
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