美緒の命を受け、助左は籐吉郎の妻、ねねを送る一行に加わる。ねねは助左が色町で助けた女性であった。納屋番に戻され、くさる助左に、ねねは「夢が叶わぬなら、今井をやめればいい。己を生かす場所は己で探せ」と言う。梢と何者かの密会を偶然耳にした助左は、木下籐吉郎ら、織田方の武将が比叡山の山麓町・坂本に集まっていることを知り、ねねをそこまで案内する。善住坊の頼みで、叡山の僧に助けを求めた助左だったが、織田信長の命により、全山焼討ちに遭遇してしまう。ねねの頼みで助左を捜しに赴いた蜂須賀小六に救われた助左だった。
織田から隠れる善住坊にとり、朋輩のいる比叡山は絶好の隠れ家でした。が、その後、信長の命令で比叡山全山の焼討ちと、そこにいる者は坊主だろうが女子どもだろうが全て殺せということで、善住坊の願いはあえなく霧散してしまいます。この時、最初は全部殺せと言っていた木下籐吉郎が、蜂須賀小六が子どもを連れてくるに及んで、つい「助けろ」と言ってしまうのは、信長のように非情になりきれていない籐吉郎の優しさの表れでしょうか。しかし、信長の命令に背いたのは木下ただ一人、これがたとえば明智光秀とかだったら絶対に許されてないよと思ってしまうあたり、自分ならば許されるかも、という籐吉郎の計算が働いていたかもしれないとも思えます。
ともかく、坊主は高僧だろうが僧兵だろうが皆殺しというわけで、善住坊の幼なじみも殺されてしまったのでした。ほうりんぼうって名前なんだけど、どういう字だったのか? 宝林坊ですかね?
で、焼討ちに巻き込まれてしまった助左、何とか逃げ出して、やっと小六に見つけてもらいます。途中で初めての人殺しまで体験してしまい、その狼狽ぶりも気の毒なほどです。しかし、あれだけの虐殺からよく生き延びたなって気もします。
あと、大した長さじゃないんだけど、虐殺に苦悩する光秀もあり、そこら辺、「逃がせ」と自分の判断で虐殺を回避した籐吉郎に比べて、真面目すぎっていうか、融通がきかないっていうか。後の本能寺の変を思わせる、光秀の離反の伏線かな〜って感じでした。
信長にとり、比叡山というのは宗教の権威であり、潰すべき中世権力の一環でした。しかし、声を荒げるでなく、ただ籐吉郎と光秀に命令する様は、逆に恐ろしくもあり、格好良くもあり。本当に憎むべきはただ一部であったのに、それを根こそぎというのはなかなかできることではないな〜と思ったり。
で、助左が出かけるあいだに、善住坊のことを頼まれた五右衛門、まだ前回負った傷で教会に世話になっとるもんですから、それどころじゃないとか何とかぬかしておいて、しっかりモニカを手籠めにしようとします。大胆だね、五右衛門。それもよりによって教会の2階とは、誰か来たら、打ち首覚悟ですか。しかも相手は今井にも匹敵するような豪商ですから、ばれたら大変ですが、五右衛門、ほしいものはほしい主義のようです。
頼みの綱の叡山がつぶされ、呆然とする助左。自らも九死に一生を得、善住坊のことはどうなるんだってんで、次回に続きます。
ところで、間者の梢ちゃん、ついに誰の手の者かわかります。服部半蔵配下でした。びっくり〜 徳川家の間者だったようです。織田家と徳川家はこの時点では同盟軍のはずですが、そうは問屋が卸さないってあたり、家康の策士ぶりを知らせるかのようですね。そういう意味では秀吉はあくまでも信長の配下だからね。ああ、すっきり。
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