助左は初めて見た信長の近代戦に胸躍らせつつ、フロイスの持つぐろおぼにも心躍る。まだ見ぬ世界が助左を呼んでいる。一方、信長討伐に動く将軍義昭を牽制するかのように、自身の二条城落成の日に浅倉攻めを通達する信長。宗久はこれに協力し、息子の兼久を隊長として、鉄砲500挺を信長に届けることになる。五右衛門からそのことを聞いた助左は、浅倉攻めの大将が木下籐吉郎と知り、是非会いたいと思って、荷馬隊に加わるのだった。
前回、「自分は二度と売られない」と誓った美緒さん、キリシタン教会に出入りするように。
そこのバテレンがルイス=フロイスという人なんですが、ぐろおぼ、すなわち地球儀があるってんで、是非見たいと思った助左、五右衛門と忍び込みます。しかし、盗む気満々の五右衛門に対し、やっぱり止める助左。どこまでも一生懸命でいい人なところが、嫌味じゃないです。逆に、「おまえに止められるのはこれで二度目だな」と言いながら、分銅つきの鎖をぶん回して襲ってくる五右衛門。根津甚八氏の触れれば切れそうな感じがなんとも格好いいのです。
で、フロイスや美緒と一緒に信長にぐろおぼを献上することになった助左、フロイスから世界の話を聞かされ、わくわく。この人は後に呂宋とまで呼ばれるようになることを考えると、日本という小さな国、堺という町に収まっているようなたまではないのだなぁというのがよくわかる描写です。この世界を見据えたスケールの大きさがなんちゅうても助左の魅力ですな。そこら辺、泥臭さも漂う五右衛門や善住坊と一線を画するというか。逆にこっちの2人はそこがいいというか。
初登場からたぶん、父親が亡くなる最後まで、父親に逆らい続けた兼久、今回は荷馬隊を命じられ、ぶん殴られ、でもやけくそで助左を隊長にしちゃいます。無茶です。彼にとってはあくまで、信長に恭順する父親は堺の裏切り者であり、信長もまた許し難い存在であるわけなんですが、動機がいまいちよくわかりません。父親を裏切り者と罵るところは、父親への子どもっぽい反発でしょうし、それに付随して、坊主憎けりゃの精神で信長も嫌いなんだろうか? まぁ、中世から近代に移り変わろうとするこの時代、近代人の信長や宗久、助左というのはあくまで少数派なんだろうなと思いますが。
高橋幸治さん演ずる信長は、そういう知的な面と、今回、笛や美緒にからんだ侍を一刀のもとに首をはねたような、たまに見せる冷酷さとが何とも魅力的です。高橋さんは高橋さんの信長を作っているのです。どこかで見た信長でなく。
そう言えば、荷馬隊に加わる助左、半年間は船から下りちゃだめって才蔵に言われてたけど、約束の半年はもう過ぎたんだろうか? 過ぎたんだろうな、許してくれたって言ってるし。
で、やっぱり木下籐吉郎に会いたくて、出かけていく助左。木下籐吉郎という侍は、助左にとってそれほど大きい存在だったんでしょうか。きっと、子ども時代、助左はあんまり恵まれてなくて、対等に扱ってくれた上に、永楽銭までくれた木下が印象深かったんだろうなぁと思いました。
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