逃げまわるうちに、助左は斉藤十郎とも死に別れてしまうが、木下籐吉郎と合流する。死んでいるはずの自分が生きているのなら、信長が死んでいても不思議はないと言う籐吉郎に、助左は商人になって海を渡ろうと誘う。籐吉郎と助左は意気投合するが、ようやく都にたどり着いた2人に信長生存の知らせが入り、籐吉郎は「海は一人で渡れ」と侍に戻ってしまう。堺に戻った助左だったが、五右衛門から兼久が善住坊に信長を狙撃させると知らされる。間に合うのか、助左?!
タイトルに反して、話のほとんどは助左と、前半は斉藤くんとの逃避行です。助左たちを見捨てて堺に戻った五右衛門、友だち甲斐のない奴め〜! きっと、前回で助左たちを助けたのも、五右衛門なりの計算だったのかな〜と思わせるクールさが格好いいのです。なんちゅうか、今は今井に使われてるんだけど、俺はこのままじゃ終わらねぇぞって五右衛門の眼差しが格好良くてしびれるんです。きっと、放送中は五右衛門の人気高かったろうなぁと思います。で、斉藤くん、いいキャラだったのに、今まで目立たないキャラがいきなり目立つのは死の前兆、というどっかのアニメだったかの黄金パターンを踏んで、死亡してしまいました。宗久ではありませんが、兼久よりも斉藤くんが生きてた方がなんぼか増しだったんじゃないか、と思うような兼久の迷走っぷりですし。宗久にも「あの豪傑が」と言われるほどの斉藤くん、きっと不器用な人だったのだろうなぁと思うキャラが好ましかったりします。で、お仙本人は「覚えてない」そうですが、夫婦の契りを交わしたとか。すごいな、お仙って、後に善住坊ともいい仲になります。ぶっちゃけ、美人さんではないのですが、きっと放っておけないような、いい女だったのだろうなぁと思います。
で、助左の後半の同行者が木下籐吉郎です。何しろ、「他人が行ってない島へ行け」とは何と的確なアドバイスではありませんか。ただ者ではないぞって感じがぷんぷんします。さすが、後の太閤です。そういう、一見、大したことなさそうなんだけど、実は大物ってキャラは緒形拳さんの得意とするところじゃなかったんでないかと思います。いや、商人になったら、きっと今井を脅かす存在になったことでしょう。あるいは呂宋助左右衛門という後の大商人は産まれなかったかもしれません。それぐらい、見てるものが鋭いのです。でも、信長が生きていたもので、やっぱり商人にはなれないと言う籐吉郎。ああ、彼は心底、信長に惚れ込んでいたのだろうなぁと思わせる描写です。そして、それぐらいの存在感が高橋・信長にはあります。
さて、で、本日のタイトル「信長狙撃」になるわけなんですが、五右衛門の立ち回りの上手さに反して、善住坊の使われっぷりは切なさが漂います。どこまでも人に利用される人生、なまじっか鉄砲の名手なもんだから、兼久のばかんちょにどこまでも利用される善住坊。もはや、兼久にとっては信長はイコール宗久であり、宗久の力の源であるのでしょう。だから、周りのことは考えずに親父憎し=信長憎しで動いている。五右衛門がそう評してますから、たぶん、合ってるんだと思うんですが、親父憎しは勝手だから、そこに他人を巻き込むなって感じです。でも、こいつ、最終回までのうのうと生き延びるんだよな。善住坊の中盤での活躍とか、たきがは、実はあんまり覚えてないんですが、最後まで兼久とつるんでたのかな〜とか思うと、もったいない気もします。林隆三さんが、また兼久にはまってるもんで、余計、憎々しいというか。○○源氏(いまだにちゃんと覚えていない)の末裔だか何だか知りませんが、血筋だけで威張ってるような奴はわしは嫌いです。なにしろ、今のところ、兼久は足を引っ張ることしかしてないんです。親父だったり、善住坊だったり、一緒に逃げた堺衆だったり。
で、今回の助左はさんざん逃げまわったあげくは、善住坊が隠れる峠までひた走ります。何か、助左受難の回だな、と思いつつ、峠に差しかかる信長一行。緊迫感を残して、次回に続きます。
と思ってたんですが、前回、1人で逃げまどう兼久を助けた梢ちゃんが、今回は五右衛門に信長の狙撃をちくります。何だ、この女?と思ったところで、物音を聞きつけて、とんぼ返りして屋根に飛び乗る梢ちゃん。なにーッ?! この女、くのいちだったんすかー?! となると、前回、兼久を助けたのも偶然とは思えません。何やら思惑がありそうですが、親父に権限握られて、本人も凡才だし、やる気ないし、兼久を助けることに誰がメリットを感じるのか、まったく見当がつきません。堺の商人の中に、そんなこと考えてそうなのもいないし。はて? 謎もはらみつつ、今度こそ、ほんとに次回に続く。
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