用水路に逃げ込んだ村雨と人造人間。人造人間が敷島博士に撃たれたのですが、医者に診せようという村雨はいい人です。うなり声しか上げられない人造人間とも意思疎通ができてるっぽいし、すごいよな、村雨健次。
一方、不乱拳博士を大塚署長に預けた敷島博士は、鉄人を見つめて物思いにふける正太郎に話しかけます。正太郎は戦争の道具として作り出された人造人間や、自分の名を冠された鉄人に複雑な思いを抱いていますが、「仕方がなかったんだという言葉で片づけるしかないこともある」と敷島博士。説明になってねぇ〜 親子の情とかもからむのは、毎度「父と子」というテーマを持たせる今川監督ならではの演出ですな。
そして、敷島博士が破った「鉄人計画」の1ページから、衝撃的な事実を知ってしまう正太郎。前回の墓参りといい、何となく予想はつく展開です。金田博士と鉄人がもう1つの親子であったように、不乱拳博士と人造人間も親子関係にあるわけですから。
ところが、不乱拳博士がまたしても行方不明になってしまいました。警察、無能すぎ… 大塚署長がネタキャラ化している。
謎の男に助けられた不乱拳博士は、人造人間がまさか生きていたとは、とつぶやきます。人造人間を消すためにオックスを出さなければならないと言う不乱拳博士。前回登場したロボットが、今回のサブタイトルにもなっているブラックオックスです。角のある頭部がマスターガンダムの元祖だってんだから、今川監督の好きさ加減も想像がつくというものですネ。
ところが、謎の男は不乱拳博士のロボットよりも人造人間を残したいと言い、不乱拳博士と対立、人造人間を戦争に利用すると言い出されて、不乱拳博士は謎の男を刺殺しますが、自身も撃たれてしまったようです。謎の男の「本国」という言い方から、彼が日本人ではないことが判明、当時のソビエトかアメリカか、までは明かされませんが。
うちに帰った敷島博士は、門のところで不乱拳博士に再会します。
その頃、用水路では村雨健次が人造人間の弾を抜いてやってました。手慣れた様子が荒っぽいことになれてるって感じで、格好いいぞ、村雨。しかも、人造人間を「可愛くない」だのなんだのと、すっかり手なずけた模様です。意思疎通しあってるっていうか。すっかりダチ気分っていうか。しかも、相手がフランケンシュタインまがいの怪物でも普通に話しているあたり、ただ者じゃありません。
その村雨、「鉄人計画」の書類を読み始めます。
敷島博士は、前回、不乱拳博士の人造人間開発に携わったことがあると言ってたので、不乱拳博士を助手席に乗せて、どこかへ向かう模様。
金田博士がうらやましいと言い出す不乱拳博士。生物学にも精通していた不乱拳博士は、鉄人を開発する第一計画でなく、人造人間を開発する第二計画にまわされたと言います。不乱拳博士は人間の脳を参考に、ものを考えるロボットを作ろうとしていましたが、そっちは戦争のために取りやめになったそうです。なんか、金田博士と不乱拳博士を見ていると、こんなにすごい博士がいたのに戦争に負けたのが不思議っていうか… 資源ないしな。
神にも背く人造人間を作ってしまったと言う不乱拳博士の言葉に、「鉄人計画」の書類を読む村雨がオーバーラップします。今川監督らしい演出ですな。
不乱拳博士の告白が続きます。来る日も来る日も戦争のために死体を切り刻んでいた博士は、最終的にあてがわれた死体を見た時、己の罪の大きさにおののいたのでした。でも作っちゃったわけね。ていうか、罪を償うために作ったつもりだったと言うべきでしょうか。
罪の償いを手伝ってくれと不乱拳博士に頼まれて敷島博士も同意しますが、人造人間に誰を殺すよう命じたのかと尋ねます。不乱拳博士に最後まで言わせないで敷島博士に「ああ、やはり」と言わせちゃう演出も今川節〜 今川節が満載のアニメです。
ところが、敷島博士の車がライトアップされ、不乱拳博士は敷島博士の裏切りに気づきます(初見で、今川監督の演出になれていない視聴者にはちんぷんかんぷんな展開ですかな、これは)。こうして見てると、敷島博士のが悪く見える…
「これ以上、誰にも邪魔させんわ〜!」と言ってブラックオックスを呼び出す不乱拳博士。辺りが暗いので、ブラックオックスの全体像が見づらいのが難点ですなぁ。
「鉄人計画」を読んだ村雨は、人造人間を殺そうとしますができません。
そして、警官隊に見つかってしまうのですが、この時、村雨は「兵器として作られたおまえにも生きる権利はある!」と言って、人造人間(どーでもいいのだが、名前がついてないので言いづらいですな)を庇い、逃がそうとします。どこまでいい奴なんだ、村雨健次! ( ´Д⊂ヽ
ところが、人造人間を、現われた鉄人28号が捕獲、まぁ、警官隊がいるんだから、誰かいるよね、大塚署長か、正太郎は。で、大塚署長では人造人間には対処できないんだから、鉄人連れた正太郎がいたと。
確か、前回では人造人間は、一度捕まった鉄人の手から脱走してたはずなんですが、今回は逃がさない模様。
ブラックオックスを追う敷島博士と大塚署長。敷島博士の言う「最悪の事態」は、しかし、不乱拳博士の言う「償い」と=な気がする。
人造人間は檻に閉じ込められてしまいました。しかし、なぜかそこに現われた不乱拳博士に村雨が共闘を申し出ます。ていうか、不乱拳博士、いつの間に… ブラックオックスと一緒じゃなかったのか。大塚署長が後で「不乱拳博士に一杯食わされた」と言ってますが、物理的にどうやって…
この時、不乱拳博士は、村雨に衝撃的な事実を打ち明けたようですが、それは敷島博士がちぎった紙に書いてあったのだな。
しかし、不乱拳博士が父親の立場で見ているのに対し、正太郎は息子の立場で見ています。ですから、戦争のために作られた鉄人や人造人間に対し、同情の気持ちもあるわけですね。
でも、そこへ霧とともにブラックオックス登場。サブタイトルどおり鉄人28号対ブラックオックスとの戦いが「蘇る無敵の兵士」の音楽と共に始まります。格好いい〜!
ですが、銃で撃たれた傷を押してブラックオックスを操る不乱拳博士の独白は、悲愴感も漂ってきました。「この世に生まれてはいけないもの」を言われて、涙を流す人造人間。生前の記憶があるとは思えません。でも、不乱拳博士が命じたことを成し遂げようとしていて、それはここまできたら、博士の命を奪うことだとしか思えないわけで。
父が子を思う心に打たれた正太郎は手を止めようとしますが、敷島博士は「2人を会わせることだけは」とかたくな。しかし、だからといって、敷島博士のやり方では問題を先送りにしているだけとしか思えないわけなんですが…
そこへ、村雨がトラックを運転して乱入、人造人間を解放します。鉄人もオックスのパワーに押され気味。ですが、不乱拳博士はついにオックスのリモコンを手放してしまいました。もう、心情的には圧倒的に不乱拳博士だったり。
不乱拳博士のもとへ急ぐ人造人間。それを止めようとする警官隊の突撃は無謀すぎる…
ところが寸前で鉄人28号に止められる人造人間。
ここで正太郎も、人造人間が不乱拳博士の息子、不義久(不が名字かよ!)だったことを知っていたと明かします。戦地で亡くなって死体が帰ってきたんでしょうけど、あの時代にしては奇跡的なことじゃね? ということは病死か? 村雨も知っていて、それで2人を会わせようとしていたわけなんですが。
人造人間が鉄人の手から脱出、一心不乱に不乱拳博士のもとへ向かいます。
しかし、今や堂々と「息子よ」と呼びかける不乱拳博士を、人造人間は殺しにかかりました。自分が作り出した存在してはならないものに殺される、それが博士の罪の償いの仕方だった。しかも、自分が殺された後で人造人間が何者にも利用されることがないよう、不乱拳博士は殺されながら、人造人間にも銃を向けるのでした。
報われない親子の死。戦争というものの罪深さが、ここまで重くのしかかるアニメも珍しいですなぁ。最後にどんな形でも、「親子だから会いたかった」と言う正太郎の言葉が、わずかな救いと言えなくもありません。正太郎もきっと金田博士に会いたかったろうし。その分、金田博士の愛情を独り占めにしたとも言える鉄人28号への思いは愛憎入り乱れていそうだし。そういうところが、「ジャイアントロボ The Animation 〜地球が静止する日」の草間親子と違うのは、今川監督なりのこだわりなんだろうなぁと思います。
次回に続く。
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