野坂昭如著。小学館。昭和文学全集26。
野坂昭如さんの追悼に「火垂るの墓」を読もうと思ったのですが手元にも実家にもなかったので、実家にあったのを借りてきまして、いちばん短い話を読みました。
九州のとある炭鉱跡から水を引くことになり、その竣工式の日から、炭鉱跡、葛炭鉱の成り立ちと滅んでいく様を綴った短編。
なんですが、たいへん気持ち悪い話でした。炭鉱主の男が嫁をもらい、大きな炭鉱には叶わないまでも細々と経営を続けるというくだりは良かったのですが、そのうちに夫婦の間に兄妹が生まれてからが駄目でした。
人里離れた炭鉱で育った兄妹は、やがて互いを異性と意識するようになります。しかも妹は死体から栄養を吸収して美しい花を咲かせる死人(ほとけ)葛を好むようになり、妹のために兄は死体を買います。そのうちに労咳にかかった兄は死んでしまいますが、妹は今度は父親と寝るようになり、子どもまで作ります。
そうしている間にも戦争はこの小さな炭鉱にも無縁ではなく、石炭も出なくなってしまい、炭鉱は閉鎖されることになりますが、最後の時になるとろくな坑夫がいない状態で、他の鉱山では雇ってもらえないような者も少なくなく、凄惨な殺し合いになります。死体は炭鉱に葬られましたが、今度の水源としての再利用でその死体が外に出ようとしている、というところで幕。
何でこんな話入れたんだか、どういうテーマなんだか、野坂昭如はよくわからん ┐(´ー`)┌
文体が「火垂るの墓」の冒頭のように。が少なくて改段も少ないもので、嫌らしさに拍車をかけておりまして、こんなんで追悼になるのか俺(爆)
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