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金石範著。講談社刊。

引き続き金石範さんの済州島四・三事件をテーマにした小説です。ほんとはドキュメンタリーが読みたいのですが、茅ヶ崎の図書館は資料が貧弱なので、検索かけて引っかかった本を片っ端から読むという乱読です。

火山島」より50年後、大阪に住む済州島出身のムン=ソンギュを主人公にした済州島四・三事件を扱った小説ですが、前作とは趣を異にしており、幻想的な話です。

済州島四・三事件で母を殺され、祖母に育てられたムン=ソンギュは18歳の時に日本に密航して、それからずっと同郷の人びとが多く住む大阪で暮らしている。母が殺された時は赤ん坊だったソンギュには母の記憶も、その時の光景も覚えがないはずだが、祖母から教わったのか誰かに聞いたのか母が殺されて海に落ちた後、赤ん坊の自分を囲んで話す大人たちの言葉が忘れられないでいたが…。

50年前の事件を回顧する話かというとそうでもなく、最後まで落としどころが読めませんでした。
最後まで読み終わって、読み終わってから思い出して、考えて、やっと、これはあの事件で殺されたたくさんの人びと、家族や親戚を殺された生き残った人びとの恨みを慰める鎮魂歌なのだろうと思いました。

家から共産主義者(と決め付けられた)を出しただけで家族にまで責任が問われ、虐殺された済州島四・三事件は、韓国では長い間、忘れられた事件でした。島中を反共の嵐が覆い、誰もが一人や二人は殺された親戚がいるという事件について話せるようになったのは民主化の後だったと言います。
わしは常日頃から、お墓も葬式も生きている人間のためのものだと思っています。ですが、日本よりもずっと祖先との繋がりを大事にして、そのために生きていると言っても過言ではない朝鮮の人びとにとって、祖先を祀るということはただの空念仏ではなくて、墓の中に祖先の遺骸がなくては魂の拠り所がないのだと作中に書いてありました。
何年か前に流行った「千の風になって」というのは朝鮮では成り立たないのだなと。あれは、大元はネイティブアメリカンだそうですが、あの感覚は朝鮮の人びとには受け入れられないのだろうなと。
けれど今作の主人公ムン=ソンギュのお母さんは殺されたところは正房瀑布という海に注ぎ込む滝の上でなのですが、遺体は見つかっていないのです。

物語はクッという巫儀を行ったところ、ムンの馴染みのママに母が憑いたところで終わりますが、語られるのを待っている済州島の物語は、まだまだありそうです。

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