安川寿之輔著。高文研刊。
副題は「日本近代史像をとらえ返す」です。
先日読んだ「
東学農民戦争と日本」がすごく勉強になった上、他の書籍の紹介で興味のありそうなタイトルが並んでいたので出版社で乱読です。
わしは福沢諭吉という人物については確か「脱亜論」という書籍で朝鮮半島の植民地化を正当化するようなことを言っているというのをどこかで読んで以来、基本、評価しておりません。ただ1万円札の肖像画に選ばれたのを知った時もそれほど嫌悪感がなかったんですが、この本を読んで、俄然
大嫌いに評価が変わりました。いやぁ、知らないことを知るのはおもしろいです。まぁ、おもしろいと言ってしまうのは、福沢のなした罪はあまりに大きく、今も大多数の日本人が持ってるアジア、特に中国と朝鮮への蔑視が大元をたどれば福沢にあるのだと思うと何も考えずに1万円札を持っていたことが恥ずかしくなりました。
同時に何かよくわからないけど高評価されてる丸山真男という人物が歴史修正主義者と言ってもいいぐらい、自分に都合のいい部分しか受け入れないのだということもわかりまして、毎度、目から鱗がぼろぼろ落ちました。
福沢の残した論稿について、全時代に渡って網羅されており、その文がどんなものかというのが詳細に追求されているので、福沢諭吉について知りたかったら、この本を読むことをお薦めします。
ただ、あとがきで著者が「私の学問上の片思いの恋人キム=ハクスンさん(言うまでもなく史上初めて自分が従軍慰安婦だったことを名乗り出た方。故人)にささげたい」という一文はいただけないと思いました。そういうのは心に秘めておけよと言いたいです。「DAYS JAPAN」という雑誌でも編集長が「大ファンです」とか編集後記に書いてるのを読んで冷めちゃったんで。
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