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山本周五郎著。新潮文庫刊。

これで直木賞を受賞したけど辞退したという短編集です。

収録作はどれも武家にまつわる女性の話ですが、武家の女性だけでなく、武家に仕える女性の話も数本混じってます。

妻を失った夫が、妻の死によって初めて千石の家を支えてきた妻のつましい生活を知る「松の花」。
夫を失った妻が子を育てるなかで主君に収める矢をこしらえるようになり、その矢の鋭さが将軍の目に止まった「箭竹」。
短歌の道を究めようとする侍の妻が、移り気で何ひとつ習い事をものにしなかった姑にその理由を諭される「梅咲きぬ」。
夫に離縁された妻が、失明した姑に仕える「不断草」。
婚姻の席で夫の負傷を知った新妻がその経緯を知る「藪の陰」。
貧しさのために養女に出された娘が、長じて生家が栄え、引き取られそうになったのを断って、義理の父と弟の貧しい家に帰ってくる「糸車」。
若くして両親を失った女性が、妹2人を嫁がせ、妹たちの裕福さと夫の少ない禄に生き甲斐を見失いかけるも夫の言葉に思い直す「風鈴」。
尊皇攘夷が叫ばれるようになった時代に、妻の倹約ぶりに打たれる夫の「尾花川」。
師匠と頼む老婆を失った女性が、その思い出を綴る「桃の井戸」。
養女として引き取られた娘との生い立ちと別れ、その再会と彼女の思わぬ素性が語られる「墨丸」。
白痴のふりをしても、やもめとなった主君に23年も仕えた百姓の娘の「二十三年」。

といったラインナップでして、解説によると、周五郎さん的には女性にというより、世の男性に、「男というのは昔から女性にこれだけ尽くされ、支えられてきた(意訳)」というのを記すために書いたという、賢女忠女ばかりがつまった本です。
ただ、わしは、侍のそういうところは元来、あんまり好きじゃないし、江戸時代に産まれても侍の家にだけはなりたくないと思ってるんですが、周五郎さんの筆は、今の時代から見ると無理があるんじゃねぇのという尽くしっぷりも、柔らかく描かれて、概ね、ハッピーエンドだったりしまして、読後感は「無理ゲー」というのはありませんでした。むしろ、あまり自由でない時代に我が道を生きた女性たちの清々しささえありまして、傑作揃いと言ってもいいと思います。

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