小川一水著。早川文庫刊。シリーズ物の第8部。全2巻。
時代がようやく第1部に追い着きました。
第1巻はイサリの側から第1部が綴られます。もっと早く言っていれば事態は変わっていたのかもしれないと、積極的に動こうとしないイサリにいらっとしましたが、考えてみれば、彼女も317歳とはいうものの、そのうち300年は冷凍睡眠していたのでまだ17歳の少女に過ぎません。けっこう無鉄砲なところはありましたが、思慮深いところも見せていたし、まぁ、しょうがないのかなぁと思いました。ただ、彼女に託したミヒルに反対するプラクティスたちの思いを考えると、もう少し積極的に動いてほしかった気もしますが。イサリを逃がすためにけっこう死んでるわけですし。
そして第2巻でようやく物語が動き始めます。カドムのパートとアクリラのパートとエランカのパートです。つくづくメニー・メニー・シープも大変なことになっています。それにしてもミヒルが積極的に討ってこないのは何を考えているのか… ミヒルの背後にはミスチフならぬオムニフロラの存在がちらちらするだけに不気味な動きです。
イサリが300年も生き延びた理由はわかりました。
救世軍の怖ろしさはサンドラたちが徹底して封じ込めたとのことでしたが、その当時の政府と決裂したアウレーリア一統まで忘れてしまい、第1部の段階ではただユレイン3世のみ知っていたというのはどうかと思う…
カルミアンは本来の知能を取り戻してきました。こうなると逆に油断も隙もありゃしない異星人なので、また何かやらかしそうです。石工として人間にこき使われていたのは、ミスン族ではなかったからのようです。数も足りなかったのかも。
アイネイアが医者と伝えられた理由は謎ですが、カドムの両親も医療従事者なんで、そういう家系としか… 適当ですが。
第9部はまだ発売されていないので、また続きが出たら読もうと思います。ただ、ちょっとつまらなくなってきたかも…
第7部でブラックチェンバーに生き残った子どもたちが大人になってぽんぽん子どもを産むんですが、医療といったら機械に頼り切りそうなこの時代に、肝心の機械が壊れ、専門家は一人もいない状況で赤ん坊の死亡率が低いなんてあり得ないという、男性作家ならではの欠点というか弱点が露出してしまったのがにんともかんとも。出産を甘く見てないですかね。
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