小川一水著。早川文庫刊。シリーズ物の第5部。
今作も前巻からあまり時代が離れていません。前々巻でノイジーラント大主教国と戦っていた海賊船は一掃されたことがさらっと語られます。今作は小惑星パラスで農業を営むタック=ヴァンディ(本名はタカカズ=バンダイ)と、ノルルスカインという今までの話にもちらちらと登場してきたダダーという2人(ノルルスカインは人ではありませんが)の主人公の話が交互に語られますが、時代は全然違います。タックが生きているのは24世紀、ノルルスカインは6000万年前と、ここに来て、話がでかくなります。
タックの話は重力の小さい小惑星で営む農業の厳しさや、一人娘のザリーカの反抗、地球からやってきたアニーと名乗る学者の女性とのやりとりなどが中心ですが、タックがごく身近な人にしか話していなかった自分とザリーカの秘密によって、終盤、ノイジーラント大主教国(アウレーリア一統ではありませんが)の登場と相成ります。
ノルルスカインの方はその生まれと、一風変わった生い立ちが語られ、どうやら第2部で地球全土をパンデミックに陥れた冥王斑の原因も宿敵であるミスチフらしく、ノルルスカインが何を求めて宇宙を彷徨っているのかが明かされます。たぶん。
前巻が悪かったけど、持ち直した感じです。
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