小川一水著。早川文庫刊。シリーズ物の第3部。
前巻よりも時代が一気に進んで24世紀です。第1部「メニー・メニー・シープ」でも印象的な人物だったアウレーリア一族の祖先の話ですが、主人公格だった医者のセアキの祖先も登場で第1部と第2部をつなぎ始めます。
23世紀、木星の大赤斑で見つかった異星人の遺跡ドロテア・ワットは調査隊を全滅させて宇宙に消えた。それから1世紀、冥王斑の患者たち、つまり救世軍から、ノイジーラント大主教国の強襲砲艦エスレル号の艦長アダムス=アウレーリアは、伝説となったドロテア・ワットに繋がる報告書が奪われたので取り戻すよう依頼されるが、その裏には伝説の海賊エルゴゾーンの存在が見え隠れするのだった。
第1部のアクリラ=アウレーリアと似たような人物がアダムスです。美形で大胆不敵な艦長(第1部では船長)ですが、けっこう繰り返し美形を強調されるので食傷気味になりました。
セアキ(第3部では瀬秋と漢字も披露)は第2部の美人で強気な矢来華奈子の子孫だそうです。第1部のセアキとも違って、いい味出してました。
そして第2部のチカヤの子孫であるグレアと、クルメーロの子孫も登場、第2部のタイトルでありながら、最後まで明かされなかった救世軍が正式名称として流通していますが、伝染性の病を抱え続ける人たちなだけに息苦しい生活を強いられています。
宇宙戦艦同士の戦いが主流の今作ですが、第1部のアンチオックス(酸素いらず)が水中でも息をしないでいいのは良かったんですけど、宇宙空間でも宇宙服なしというのは、ちょっと疑問符がつきました。酸素がなくても呼吸できるのはいいんだけど、真空でも人間の身体って大丈夫なのかと… そういう点も含めて改造したのか? それで人間の外見を保てるものなのか? アンチオックスは以降も主要な役割を果たしそうなだけに、引っかかり始めると気になる…
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