監督:ウォルフガング=ペーターゼン
出演:艦長(ユルゲン=プロホノフ)、ヴェルナー少尉(ヘルベルト=グレーネマイヤー)、機関長(クラウス=ベンネマン)、ヨハン(アーウィン=レダー)、ヒンリッヒ兵曹(ハインツ=ヘーニッヒ)、トムゼン(オットー=ザンダー)、ほか
音楽:クラウス=ドルディンガー
ドイツ、1981年
大昔に見たきりだったので観てみました。ドイツの戦争映画の傑作とかどこかで絶賛されていたんですが、これじゃなかったっけ…
1941年秋、ナチス・ドイツの支配下にあるフランスの軍港ラ・ロシェルから一隻のUボートが出航する。その任務は大西洋を航行する連合国の護送船団への攻撃だった。Uボートの戦いを取材するために乗り込んだ報道班員のヴェルナー少尉は、敵船団の索敵と攻撃、敵駆逐艦からの索敵に身を潜める恐怖などを味わう。乗組員たちはクリスマスにはラ・ロシェルに戻ることを願っていたが、艦長が受け取った命令はイギリス軍の支配するジブラルタル海峡を抜けてイタリアへ向かえという過酷なものだった。一度は沈みかけたものの、機関長らの努力の甲斐あって、ようやくイタリアに到着するUボート。しかし、そこに連合国の爆撃が加えられ、Uボートはヴェルナーの目の前で沈んでしまうのだった。
ディレクターズ・カット版で見たもんで3時間超の大作でしたが、そこは手堅いドイツ映画、出撃前の乗組員たちの馬鹿騒ぎ、出撃、食事、索敵、嵐、敵への攻撃、駆逐艦の反撃と緩急をつけた展開で時間を感じさせません。また当時の金で40億円もかけて作ったという実物大のUボートのセットがリアルで、狭い艦内での工夫とか、苦肉の策(ソーセージの束とかバナナがあちこちにぶら下がっている)とか、最初はみんなできれいな顎だったのに、だんだん髭もじゃになってくところとか、まぁ、男だけの色気のない映画ながら、その汗臭さ、塩水のべたべたした感じまで伝わってくるのはなかなかの描写です。
しかもラスト、楽団や一般市民の出迎えを受けていたところに敵の飛行機が急襲、15時間もかけてジブラルタルから復帰したUボートはもちろん、それまで雄々しく戦ってきた艦長までも呆気なく殺されてしまう辺りなんかは、Uボートの進軍のたびに流れていた雄々しいテーマ曲が何だったんだと言いたくなるような空しさに満ちてました。
Uボートというと「海の狼」みたいな敬称でドイツ海軍の強さを象徴するような存在みたいな扱われ方でしょうが、実際は乗組員の3/4が戦死したという過酷さとか、1941年ってまだナチス・ドイツがいけいけでスターリングラードの戦いも始まってないのに、艦長が見せる厭戦の空気とか、そういうのが凝縮された映画でもありました。
密林のレビューを見てたら、「ラストのシーンいらない」みたいな意見がありましたが、あれがなかったらただの戦争礼賛の映画に陥っちゃうと思うんだが、まぁ、そういうのが見たい人はいらないと思うのかもな。
ジブラルタル海峡を突破してイタリアに向かえと言われたUボートがスペインのビゴ(ビーゴとも)で補給してきますが、どこかと思ったら、ポルトガルの上じゃった。巡礼で有名なサンティアゴ・デ・コンポステーラと同じガリシア州だそうで。
そして、せっかくスペインまで行ったのに、グラナダでもバルセロナでも海も見なかったことを思い出して、地中海ぐらい見てくれば良かったのにと激しく後悔。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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