監督:小林正樹
脚本:安部公房
原作:BC級戦犯の手記より
出演:山下(浜田寅彦)、横田(三島耕)、木村(下元勉)、川西(信欣三)、西村(三井弘次)、許(伊藤雄之助)、ほか
見たところ:渋谷ユーロスペース
日本、1956年
そんなわけで死刑映画週間の2本目です。「
死刑弁護人」とどっちにしようか迷って、見たことがない方にしました(イベントが朝の11時〜夜の9時過ぎまでなのでどこかでご飯を食べたかったから)。
巣鴨プリズンに入れられたBC級戦犯の話を、主に原住民を殺した山下のエピソードを中心に描く。
山下はラスト近くまで髭を生やしているし、伊藤さんは「
生きる」で覚えているので、あとの4人の顔を覚えるのが大変でした。ただし、確か川西という人は神経症みたいになっちゃって首を吊ってしまうので中盤で退場しまして、たぶん木村という人が眼鏡をかけていたのと、西村という人は九州弁が強かったので何とかなりました。
山下の上官が浜田で、浜田の命令で原住民を殺した山下は、浜田の密告や証言のために有罪とされて巣鴨プリズンに入ってます。まぁ、日本軍というのはなにしろ上官の命令は絶対なんで「殺せ」と言われたら殺すしかないように考えちゃってるんですが、それでも殺したことに代わりはないよねとは思いました。どうせ殺すなら浜田殺しちゃえば良かったのにとか。
横田は捕虜収容所の通訳でしたが、火葬(本当の隠亡です)の娘役で岸惠子が登場、彼女に会いたいという望みを持ってますが、彼女はとっくに盛り場の女になっちゃってる辺りが男と女の違いというか、何夢見てんだよみたいな感じでした。
弟は新聞記者ですが、「ブタ箱に入れられた」みたいな会話をしてまして、左翼に傾倒しつつあります。
許は朝鮮人で、たまに濁点がなくなるのが朝鮮人らしいと言えなくもないんですけど、何をやったのかは不明っぽいです。たぶん軍属とかそこら辺でしょう。
戦犯というのは、けっこうでたらめな裁判も多かったんで同情の余地は多大にあるんですけど、死刑と同列に扱うのはどうかなと思いました。まぁ、実際に絞首刑になっちゃった人も大勢いるんで、それはそれで大変なんでしょうが。
ただ、この映画のメインを占める山下は実際に人を殺しているわけで、浜田の命令ではあったけれど、だからといって山下が無罪かと言われるとそうも言えないと思うわけで、いろいろと考えさせられるタイプの映画ではありました。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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