監督:岩佐寿弥
出演:オロ、岩佐寿弥、ダドゥン、ラモ=ドルマ、ラモ=ツォ、ワンチェン、モゥモ・チェンガ、ほか
絵・題字:下田昌克
見たところ:川崎アートセンター アルテリオ・シネマ
2011年、日本
予告編を見たら、おもしろそうだったので、1週間だけの上映だったので、それっと行ってきました。
ドキュメンタリーで、あんまり筋らしい筋はないので、いつものように隠さないでおきます。
6歳の時にチベットからインドに亡命し、ダラムサラのチベット亡命政府が作ったチベット子ども村に寄宿するオロ少年。チベットが好きで、チベットの映画を撮り続ける岩佐寿弥監督は、オロの日常を追い、一本の映画を撮る。
前半はダラムサラでのオロや、オロが特に仲のいいダドゥン、ラモ=ドルマ姉妹とその両親の日常を追った感じ。特にダドゥンの父は、チベットの映画監督で、2008年の北京オリンピックの時に、チベット人が考える北京オリンピックについて映画を撮り、6年の実刑を受けて、中国の刑務所に収監されています。オロの家族(母、妹、祖母)は、皆、チベットにおり、中国だとチベット人としての教育を受けられないと心配した母親が、人に頼んでオロだけ亡命させたそうです(そこら辺の事情は後半に語られる)。
後半は、それまでオロにマイクを向けるだけだった監督が前面に登場し、オロとともにネパールのポカラにあるチベット難民のキャンプへ向かいます。そこには、監督が10年前に映画に撮ったモゥモ・チェンガ(満月おばあちゃん)がいるので、訪ねていくわけです。そこで会ったモゥモ・チェンガの親戚の人びとに迎えられて、オロがチベットからインドに亡命した時の様子を語るわけなんですが、いや〜、チベットの6歳児はすげぇなぁ。どうやら、それ以前から親の手伝いで羊を追ったりしているもので、見知らぬ町で独りぼっちになっても、食堂へ住み込みで働くたくましさ。何より、ラスト、チベット独立に向けて、子どもであるオロまでが夢を語る。ああ、こうやって、独立の精神は着々と子孫に受け継がれていくわけなのだなぁと思いました。
しかし、インドがチベット亡命政府を受け入れているのは、何らかのメリットがあるからなんでしょうから(中国に対する牽制とか)、それが失せた時が来たら、それはまたそれで大変だろうと思ったり。
まるで顔つきの違うインド人が多いなか、ダラムサラを歩くオロたちチベットの人たちは、わしらと似た顔つきをしていて親近感を覚えますが、体験していることはまるで違うのだなぁと思わされました。
そして、国がない民族という点ではクルド人も同じなのだろうけれど、またどうなのだろうかと気になりました。
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