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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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死刑弁護人

監督:
出演:安田好弘弁護士、山本太郎(ナレーター)、ほか
見たところ:横浜シネマ・ジャック&ベティ
2012年、日本

6年ほど前、光市の母子殺害事件の裁判で初めてお名前を知った弁護士の安田好弘さんを追ったドキュメンタリーです。タイトルのとおり、死刑事件にいくつも関わっており、「死刑といったら安田」くらいの暗黙の了解が弁護士会にあるんかいなと思うくらいです。映画の時点では55件の裁判を抱えていて、うち8件が死刑なんだとか。もう、わしのような人種には想像もつかないような頭の回転の速い人なんかなぁと思っちゃいます。

でも、わしが安田さんを尊敬しているのは、そういう頭の良さではなくて、たとえ死刑確定囚であっても、決して名前を呼び捨てにしない、その誠実で真摯な人柄に対してです。もしも、わしがそんな刑事事件を起こすようなことがあったら、安田さんに是非、弁護をお願いしたい。そう思います。

ドキュメンタリーは、安田さんの弁護士としての活動を裁判以外から追い、さらに安田さんが関わった6つの事件のあらましと被告の紹介もしつつ、進んでいきます。

和歌山毒カレー事件
これは、わしも「状況証拠だけで林眞須美さんを死刑にするのは無茶苦茶だ!」と彼女が逮捕された後ぐらいから思っていました。わしは、あんまり細部を知らないで、わりと脊髄反射で考えちゃう方なんですが、この事件に関しては、どうやら間違っていないようです。

新宿西口バス放火事件
これ、停車していたバスに火の着いた新聞とガソリンが投げ込まれ、6人が死亡、44人が重軽傷を負ったという重大事件なんですが、実情を知ると、殺意って何だろうと考えさせられました。
安田さんたちの弁護により、丸山被告は無期懲役となり、死刑を免れましたが、刑の確定から11年後、自殺したそうです。安田さんは刑の確定後、1度しか会いに行かなかったと自分を今も責めているのです。

名古屋女子大生誘拐事件
1980年と、この中ではいちばん古いので、さすがにわしも覚えてません。木村被告のことも知りませんでした。以前読んだ「「生きる」という権利」にも、確かこの事件は登場してなかったはず。
死刑から8年後、木村被告に刑が執行され、安田さんは自分が恩赦を勧めたばかりにと責任を感じています。とうに終わった事件なのに、事務所に置かれたいくつもの関係書類の段ボールが、決して忘れられない罪の証でもあるかのように。

光市母子殺害事件
わしが初めて安田さんのお名前を知った事件であり、興味を覚えて「「生きる」という権利」を読んだ事件でもあります。映画のなかでは扱われていませんが、現大阪市長・橋下徹がテレビタレントだった時にテレビ番組で弁護団に懲戒請求だったかを呼びかけ、わしのなかで橋下への評価を決定づけました。
わしは事件の全貌を知る前に安田さんを知ったので、何度もメディアに登場して「犯人を死刑に」と声高に主張し続ける被害者遺族の方に共感できないなぁと思ったものです。同時に、「遺族の感情にはかった判決を」と重罪を叫び続けるメディアをおかしいと思い出したのもこの事件であり、わしが死刑制度そのものに懐疑的から大きく反対へと舵を切り始めたのもこの事件がきっかけでありました。

ここで安田さんの死刑制度反対に対する決してぶれない姿勢が明らかにされます。「たとえ家族が殺されても死刑には反対」と断言する安田さん。そういう論点は死刑制度を語る時によく言われることですが、信念の人なのだなぁと思いました。

オウム真理教事件
あまりに有名な事件なんで、クライマックスに持ってきたかと思っていたら、まだ後があったとは…。
わしが「「生きる」という権利」を読んだ時に驚いたのは、自分が扱った事件の被告たちに対する安田さんの誠実さでした。特に、このオウム真理教の教祖に対しては、当時のメディアが声高にその異常さを羅列し、唱え、叫んでいたので、わしも「信者に自分の入った風呂の水を聖水として飲ませる変態」というイメージを抱いていましたが、どうもそんな人物ではないようなのです…。
でも、一連の教団が犯した事件を麻原被告が指示したかどうかという決定的な部下からの証言を麻原被告が止めようとし、安田さんも受け入れようとしたのに、こんなに大きな事件を「3年で終わらせるように」と無茶言った裁判所は、ここで反対尋問を行わなければ放棄と見なすとか何とか無茶苦茶ですよ。やっぱり日本は司法もおかしいよ!
以来、麻原被告は誰とも話すことなく、奇異な言動が目立つようになり、東京拘置所の中で生きているのか死んでいるのかもわからないままなのですが、安田さんは「麻原の再審弁護人です」と宣言、初めて麻原被告の弁護を引き受けた時に「自分はやっていない」と言った言葉を信じて、1つ1つ吟味し、真相に迫っていこうとする態度が真摯じゃなくて何だと言うのだろうと思いましたよ。

安田事件
安田さんが強制執行妨害の容疑で逮捕された事件。うう、あんまり記憶にないかも…。
映画のなかで安田さんのために、おそらくは弁護士自身のために1400人もの弁護士が弁護団を結成したとあり、弁護士もまだまだ捨てたものじゃないのかなぁなんて思ったり。でも、絶対に橋下は入ってないだろうなと思ったり。

自宅は鎌倉にあるのに、月に1回ぐらいしか帰れず、子どもたちの成長も見ることができず、赤坂の事務所に泊まり込んで弁護士として活動し続ける安田さん。どうか、いつまでもお元気でいてほしいと願わずにいられませんでした。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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