監督:三島有紀子
原作:池辺葵
出演:南市江(中谷美紀)、藤井(三浦貴大)、牧葵(片桐はいり)、南広江(余貴美子)、ゆき(杉咲花)、藤井葉子(黒木華)、橋本(伊武雅刀)、泉先生(中尾ミエ)、ほか
見たところ:川崎市アートセンター・アルテリオ・シネマ
日本、2015年
おかんが見たいと言うのでつき合って行ってきました。中谷美紀は初めて見たのが「ケイゾク」の天才肌だけど変人という役どころだったせいか、美人だけど変わり者というイメージが定着していましたが、そういう雰囲気がこの話の主人公にもぴったりな感じでした。
神戸の町を見下ろす坂の上に立つ洋館・南洋裁店は、先代が顧客に作った一点物の洋服の直しと昔なじみの店に出すわずかな洋服を作っている頑固な二代目・市江が継いだ店だ。大手デパートに勤める営業マンの藤井は、その一点物に惹かれて南洋裁店をブランド化しようとするが市江に拒まれる。服飾が好きで市江がかたくなに守る先代の衣装に惹かれていく藤井は、足繁く南洋裁店に通い、次第に市江と交流を深めていく。最初のうちは藤井の熱意をうるさがっていただけの市江だったが…。
頑固な洋裁店主と大手デパートに勤める服飾好きの営業マンの出逢い。ボーイ・ミーツ・ガールまで進展しませんでしたが、祖母のデザインをかたくなに守り続けてきた市江は、確実に藤井の影響を受けて、新しい一歩を踏み出していきます。洋服との出会いを理想的に描いた話でした。しかし、確かに理想ではあるのですが、こういうオーダーメイドな服ばかりだった時代、わしら庶民が服を手に入れる手段は古着でした。そう思うと既製服は悪いことばかりではなく、誰もが高いオーダーメイドを身につけられるわけでもない。ただ、そういうことがわかっていたからこそ、先代は自分の作った服を身につけて出られる夜会を催したのであり、それはまた日本には根づいていないヨーロッパやアメリカの文化でもあるのだなぁと思いました。「ピーターパン」でウェンディの両親が子どもたちを置いて夜会に行くという辺りが、まさにこの夜会の世界まんまです。
一生に一着の服との出会いは理想でもありますが、誰もがそのような価値観を抱いているわけでもありません。そう思うと、この話は綺麗なお伽噺と言ってもいいのかなと思った次第。
あと、全体的に音楽がうるさくて、そこがマイナスでした。
主題歌が平井堅なのを書かないのは単にたきがはが嫌いだからです(爆
それよりも予告編で見た「妻への家路」が号泣必須でやばすぎる。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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