監督・脚本:ウベルト=パゾリーニ
出演:ジョン=メイ(エディ=サーマン)、ケリー=ストーク(ジョアンヌ=フロガット)、メアリー(カレン=ドルーリー)、プラチェット(アンドリュー=バカン)、ジャンボ(キアラン=マッキンタイア)、ホームレスの男たち(ポール=アンダーソン、ティム=ポッター)、ほか
イギリス・イタリア、2013年
ロンドンのケニントン地区の民生係として働くジョン=メイは44歳の独身男。彼の仕事は孤独死した人びとを弔うことだが、事務的にこなせる仕事を、ジョンは近親者を探し、弔辞を書き、埋葬にまで立ち会うことで一人ひとり、「おみおくり」をしていた。しかし、22年も同じ仕事に就いていたジョンに上司のプラチェットは解雇を言い渡す。ケニントン地区は他の地区と合併になり、そうでなくても仕事ぶりが遅いジョンを上司は好ましく思っていなかったのだ。ところがジョンは前日、自分の住むアパートの向かいの部屋で孤独死したビリー=ストークの記録に着手したばかりで、それが最後の仕事だと言い渡される。いつものようにビリーの遺品から近親者の手がかりを探すジョンは、ビリーが最後に務めていたパン工場から、メアリーという女性とつき合っていたことを知り、はるばると出かけていくが、暴力癖のあったビリーを疎ましく思っていたメアリーは、ビリーが知らぬ間に生んだ娘と一緒に葬儀に参加してほしいというジョンの申し出を断る。上司に言われた期限が近づいていたが、ジョンは自費でいいから、ビリーの件を続けさせてほしいと訴え、プラチェットもこれを承諾するが…。
最後がけっこうショックというか、そう来たか!って展開がイギリス映画。ハリウッドなら、間違いなくハッピーエンドでしょう。だいたい、ジョン=メイのような人物は主人公になりづらい。
しかし、アパートの向かいの住人が孤独死したことにショックを受けたのかどうかわかりにくい表情に乏しい人物なのですが、ジョン=メイはこれまで以上に熱心にビリー=ストークを「おみおくる」ことに取り組むのでした。
でも、だったら、そういうジョン=メイがつまらない人物かと言ったらさにあらず。彼は独身で、家でも料理をせず、缶詰と林檎ばかり食べていますが、孤独死した人たちが残した写真をアルバムに貼って、大切に保存しているのです。そんな時のジョンさんは、とても優しい顔をしていて、これは、ちょっと不器用なおじさんが役所の合理化の嵐で解雇されちゃうけれど、新しく生きなおそうとしている話なのだと。そう思って、もうこの序盤のアルバムのシーンで、わしはジョン=メイさんが好きになってました。
それだけにラストがショックなんですが、その後に来たシーンは、もしも劇場で見ていたら号泣してたかもしれないなぁと思わせるすごくいいシーンだったので、ネタバレは書かないでおきます。
ジョン=メイさんの誠実さがとっても心にしみる良作です。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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