監督:リンダ=ホーグランド
出演:石内都ほか
製作:NHKエンタープライズ
見たところ:横浜シネマ・ジャック&ベティ
2012年、日本・アメリカ
シネマ・ジャック&ベティで1週間しか公開してないってんで、それっと行ってきたんですが、ちょっと期待はずれで退屈な映画でした。そしたら、製作が「NHKエンタープライズ」って出たんで、映画にして見る人を選ぶより、NHKスペシャルとかにして、もっと多くの人に見せた方が良かったんじゃないのっていうのが正直な感想です。
広島の平和記念資料館に集まる遺品。写真家の石内都さんは、それらの遺品を専門に撮っている。そのような遺品のみの写真展がカナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学人類学博物館で開催された前後の様子、写真展に来た人びとの漏らす感想などを追う。
石内さんが遺品を撮影するまでは見られたんですが、だんだん音楽に頼った演出に飽きてきまして、ちょっとうるさいなと思い出すと、わしはもう、そういう映画は基本、駄目なのでした。なまじっかきれいな音楽だけに何が言いたいのか、ピントがずれてるっていうか、何かが違う何かが違うと思っているうちに眠気さえ催し、沈没するほどではありませんでしたが、最後の「NHKエンタープライズ」で納得。ちょっと違くね?って感じです。
あと、作中で観覧者に感想を言わせてたんですが、一人、日本人っぽいおっさんが「これで死んだ人も成仏できる気がする」って言ってたのは中沢啓治さんの「安らかに眠ってくださいなんてありえない。もっと怒れ」って言ってたのを聞いた後では、生ぬるいなぁとしか思えなかったり。ていうか、同じ日本人として、広島と長崎に原爆を落としたことを、こういうことを言える人はどうでもいいと思ってんのかなぁというのが違和感。
また、カナダがマンハッタン計画(原爆製造計画)に参加していたという話は初めて聞きましたが、その際、原爆に使われたウランはカナダ製のもあったそうです。ネイティブのデネの人びとが、その発掘作業に従事させられたんですが、戦後、広島と長崎に落とした原爆のことを知って、デネの人びとは広島と長崎で謝罪したとか… そういう性根って、アメリカも日本もカナダも持っていない。こういうのを本当の人間だというんだな、と思いまして、それが最大の収穫でした。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
[0回]
PR