監督・脚本:リュ=スンワン
出演:ピョ=ジョンソン(ハ=ジョンウ)、チョン=ジンス(ハン=ソッキュ)、リョン=ジョンヒ(チョン=ジヒョン)、トン=ミョンス(リュ=スンボム)、リ=ハクス(イ=ギョンヨン)、ほか
音楽:チョ=ヨンウク
見たところ:109シネマズ川崎
2013年、韓国
ハン=ソッキュさんの新作です。出演を知った時から行くぞ〜!と決心しており、地元のシネコンで上映していたにもかかわらず、電車で30分もかかる川崎のシネコンに最終日のしかもレイトショーに飛び込むというていたらくで、やっと観ました。こういう映画は大画面で見ないとおもしろくないので見られて良かったです。
「ゴースト」のあだ名で韓国側に知られるピョ=ジョンソンはベルリンを中心に活動する朝鮮民主主義人民共和国の凄腕のスパイだ。しかしロシアのブローカーを介してのアラブ系組織への武器の売り込み現場にイスラエルのモサドが介入してきたことで取引は失敗、ジョンソンは内部の裏切りを疑うが、ピョンヤンから送られてきた監査員トン=ミョンスから、その疑いが妻のジョンヒに向けられていることを知らされる。一方、ゴーストを追い続けてきた韓国国家情報院のエージェント、チョン=ジンスもジョンソンの取引の現場を監視していたが、その失敗から北朝鮮側に何か起きていることを察知する。ジョンソンとジョンヒはいつか大きな陰謀に巻き込まれていくのだった…。
最初はクールな凄腕スパイをハ=ジョンウさんが熱演。国の命なら妻も疑うが、数年前に最初の子どもを亡くし、さらに妻が二人目の子どもを妊娠したと知り、だんだん無表情が揺らぎ始めます。鍛え上げられた肉体、多少の傷では動じないタフさ、体当たりの演技が観てて気持ち良かったです。
そして久々のハン=ソッキュさんは熱血スパイを熱演。ゴースト=ジョンソンを執拗に追いかけますが、ジョンソンが罠に嵌められ、奥さんを人質にとられたと知ると、本部の応援もないのに助けてあげちゃう男の友情がまるでわし好み。後輩が上司という複雑な立場、孤独に誕生日を祝う気むずかしさというか、周囲から煙たがられてるだなってわかっちゃう癖のある人物像が何ともはまるのでした。しかもパンフで韓国映画好きの構成作家・天明晃太郎さんのコラムが「『シュリ』の主人公が14年経ってベルリン支部に赴任するというイメージは面白いかなと思いました」と監督の証言を紹介。
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) …?!
(つд⊂)ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
( д )
(; Д ) !!
な、なんだって〜〜〜?!
「シュリ」でただ一人、ユ=ジュンオン室長が傷心のうちにベルリンに渡り、14年(「シュリ」から14年も経ったんですよ)も経って、巡り会う祖国に引き裂かれる若き恋人たち。それはかつての自分たちの姿であり、もしかしたら、未来の自分たちの姿だったかもしれない。そう思うと、終盤、執念深く追いかけたゴーストことジョンソンの妻を助けるためにジンスが損得なしで協力することも、深傷を負ったジョンヒを助けるために懸命になったことも、ラスト、一人生き残ってしまったジョンソンを逃がしてやることも、すべて合点が行くではありませんか! なんと、一粒で二度美味しいとはこのこと… 美味しい美味しすぎるぞ「ベルリンファイル」!!!
ジョンソンの奥さん役は「猟奇的な彼女」とか「イルマーレ」のチョン=ジヒョンさん。すっかり大人の雰囲気を身につけた女性になりました。美人だしね。
そして悪役ミョンスは変なところまで気の回る嫌らしさと小物ッぷりで監督の弟さんが好演。ああ、やな奴だ。詰めの甘いところも典型的な悪役だ。いいバイプレイヤーだな。
と久々の韓国映画にどきどき、2時間スクリーンに見入ってきました。落としどころが最後までわからなかったのも良かった。かくなる上は、ジョンソンの復讐譚でもう一本作らん?
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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