オープニングなしで黒部ダム、ベラネードのいる方に向かって行進する無数のブラックオックスからスタートです。
ビッグファイア博士はオックスの操縦が効かないと言ってます。
そして天をも照らすオックスの目ビーム。
敗戦後の日本、もはや戦後ではないと言うほどの成長を遂げていく日本の陰で、戦争のもとで作られたものが太陽の下に明らかにされ、また失われていったり自滅していくなか、最後の罰がくだされようとしている、でタイトルです。
前回のラスト、鉄人を溶鉱炉で溶かすなんてできないと言う正太郎に村雨健次が怒鳴りつけるところの再現です。
「好きにさせてもらう」と言って、鉄人の操縦器を取り戻すべく金田邸へ向かう村雨。
村雨の向かった方で爆発があったところで今回のタイトル。
急いで、そちらに向かおうとする正太郎と高見沢さんを止める大塚所長。
その前方でファイア3世がブラックオックスの首を掲げます。
ぬ、ぬこ〜 ( TДT)高笑いするPX団の下っ端。おまいら、黒部の件はどうでもいいのか?
しかし、正太郎たちは、いつの間にか銃を持ったPX団員に取り囲まれてしまっていました。
響く銃声。
その音に村雨健次が目覚めます。どうやらPX団と戦っているうちに気絶してしまったよう?
しかし、気がつくとPX団が銃を構えて向かってきます。
村雨はナイフで応戦しようとしますが、残り一本では戦えません。倒れたPX団員の持っている銃に手を出そうとしますが、躊躇います。この期に及んで…
そこに竜作の声が響きます。「こんな奴らを相手に命を落とそうなんて考えるな」と言われ、「こんな奴らに日本を荒らされるわけにはいかねぇ。それに、おまえにはもっと大事なことがあるんじゃないのか」とまで言われても躊躇う村雨。
しかし、兄と思ったのは囚われた鉄人でした。
ついに腹を決める村雨。
銃を持ってPX団に反撃に出ます。
さらに脳裏に響く竜作の声。どこまでブラコンなんじゃ、おまいは…
まぁ、だからこそ、兄貴の声に託さなければ、村雨は「竜作が死んだのは鉄人のせいじゃない。鉄人は兵器じゃない」と認めることができなかったんでしょうなぁ…
金田邸で縦横無尽に暴れまくる村雨。
絶体絶命の正太郎たちを助けたのは警察でした。
関刑事は大塚所長に制服まで持ってきちゃいます。まぁ、それ、大塚署長のサイズだろうし… クロロホルムが着たら、ぶかぶかになってそう…
とうとう官房長官まで「わしからも頼む」と言われても、一応、更迭された身なんで躊躇う大塚所長。
でも「ごちゃごちゃ言わんと着ればいい!」と怒鳴られて、大塚所長、大塚署長に復活です。
しかし、ファイア3世を操るPX団員は「こうなったら鉄人だけは!」と言って、ファイア3世を動かし始めました。
ところが間一髪、ファイア3世の手を鉄人が取ります。
それだけで腰をぬかしちゃうんですから、しょぼい奴です。
もちろん鉄人を動かしたのは村雨健次です。
歓声をあげちゃう高見沢さん。
鉄人は強く、ファイア3世など一撃でぶち壊してしまいます。
でも村雨の活躍もここまででした。
駆け寄る高見沢さんたちの目の前で、村雨は力無くくずおれてしまったのです。
それでも、まだ行けると言う村雨に、正太郎はとうとう「行きます」と言いました。たとえ鉄人を葬ることになっても、たとえバギュームを使うことになっても、僕が行くと言う正太郎。そして黒部を守ると宣言しました。
少年探偵らしい決意を、その力強い眼差しに秘めた正太郎に、村雨は操縦器を渡しました。「おまえには、その権利と義務がある」と言って。
そして力尽きてしまう村雨健次。高見沢さんの悲鳴が響き渡るのでした。
ついにバギュームが鉄人の心臓に投入されます。
力強く打ち始める鉄人の心臓。
正太郎は言います。こんなことが許されるわけがないと。許してほしいなんて言わないと。いつか自分も罰を受けるだろうと。でも今だけは自分と一緒に戦っておくれ、鉄人28号と言った正太郎も涙を流しているのでした。
鉄人は正太郎、敷島博士、それに大塚署長を乗せて黒部へ向かいました。
官房長官は「我々も黒部に」と言い、関刑事が同意します。
こうして陸に空に、大挙して黒部を目指すのですが… 空はともかく陸だと何時間かかるんだ、黒部は?
村雨と二人で残された高見沢さん。
ところが「これで黒部は大丈夫。だからあなたは安心して」と言って抱きしめた村雨が声をあげたもんで、驚く高見沢さん。
大けがを負ったはずなのに、楽々と立ち上がる村雨健次。
村雨の背中から落ちたのは頑強な鉄板でした。
「どうして」と言う高見沢さんに「こんな真似でもしないと正太郎が決心つかないと思ってな」と、どこまでも兄貴分な村雨でした。
そして「お高ちゃんともお別れだな」と言い出す村雨健次。これで顔を出せば、せっかくの正太郎の決意に水を差したことになると言うのです。むぅ… 確かに。
不意を突かれた高見沢さんの唇をさりげなく奪って去っていく村雨。今度こそ、兄貴は卒業できたでしょうか?
高見沢さんは「あんたより、もっといい男を捉まえるから。それでもって、元気ないい子をいっぱい産むから!」と言ったところで表情を変えまして、「そう! 正太郎くんみたいなね!」と宣言します。高見沢さんは、きっと平田屋を継いで、いい女将さんになるでしょう。
一方、ギャロンの頭ヘリに乗って、脱出を図るベラネード。なるほど、それでバギュームの時も避けたんか。
ところが、この期に及んでビッグファイア博士は置き去りです。ビッグファイア博士はブラックオックスの人工知能を解明して、裏切りの原因を探っているからです。
逃げ出すギャロンの頭を照らすブラックオックス。飛べないのが唯一の弱点ですな、ぬこは。
その時、ベラネードの視界に入ってきたのは鉄人28号でした。
猛スピードで飛び去る鉄人と接触し、激しく揺れるヘリ。どころか、そのまま墜落してしまいました。んまぁ、呆気ない。
しかしそれどころではありません。正太郎たちの視界に入ってきたのは、建設途上の黒部ダムに向かう無数のブラックオックスだったからです。
その真正面に着陸する鉄人28号。
ブラックオックスは標的をダムから鉄人に切り替えたようです。
そこでブラックオックスを止めるべく、この場を正太郎と鉄人に任せて、敷島博士と大塚署長はビッグファイア博士のもとへ向かいます。
無数のオックスをものともせず、圧倒的な力で次々に破壊していく鉄人。ですが、オックスの数は黒部峡谷を埋め尽くすほどなのです。
大塚署長は鉄人の力に驚きますが、敷島博士は全てはバギュームの威力だと言います。そして、バギュームを投入したことで、太陽爆弾が破裂するのも、そう遠いことではないのです。うーん、まるでメルトダウンしたゴジラやな…
その光景を上から見下ろしている者がありました。パラシュートで脱出したベラネードです。悪運の強いおっさんだ。
ベラネードは赤く輝きながらオックスを倒す鉄人を「これこそ、わたしのほしかったものだ」と言って高笑いしてますが、太陽爆弾のせいで自分もやばいということに気づいていないようです。呑気な奴だなぁ…
その頃、オックスの頭脳が手に負えなくて困り果てたビッグファイア博士のもとに敷島博士と大塚署長がたどり着きます。
敷島博士はオックスの頭脳を見て、驚きました。
ビッグファイア博士曰く「全てのオックスを動かすために、全部のオックスを結んだ」そうです。そうしたら、おかしくなったそうで… つまり、悪いのをコピーしたから全部悪い?
説明を求める大塚署長に「記憶です」と答える敷島博士。
不乱拳博士はもともと人工知能の研究をしていました。でも、オックスに搭載されているのは人工知能ではなく、記憶装置だと言います。それはモンスター事件から動き出しましたんで、その時、鉄人と戦ったのがいちばん古い記憶であり、それに従って、全てのオックスが動いていると敷島博士は言うのです。それって、何てインプリンティング…
量産されたブラックオックスは自律するために人間の手を必要としなくなりました。
けれど鉄人は違います。鉄人を動かすには操縦器が必要であり、常に人の手を必要とします。敷島博士は嬉しそうに「鉄人は兵器ではない」と宣言するのでした。
ビッグファイア博士は「オックスのせいじゃなかった」と言って、敷島博士を撃ちます。何発か撃った弾丸が卓上のマイクを落とし、ビッグファイア博士の声が正太郎にも聞こえてきました。
そして明かされるビッグファイア博士の裏切り。
バギュームを太陽爆弾に応用したのは金田博士ではなく、ビッグファイア博士だったのです。しかし、それは不乱拳博士やドラグネット博士にも反対されてしまいました。
正太郎は、その声が金田博士の秘密の研究室から見つかったレコーダーに入っていたバギュームの場所を訊ねる声だったことに気づきます。あれ、とっくにビッグファイア博士だとわかっていると思ってたのに、まだ不明だったんかい。
しかもレコーダーは、いざという時のためにビッグファイア博士が用意したものだったと言います。道理でニコポンスキー(敷島博士)が壊すのを躊躇わなかったはず…
そう、金田博士はスパイなどではなかったのです。
しかも鉄人28号に組み込まれた太陽爆弾の起爆装置も、ビッグファイア博士が「バギュームを安全に使う方法がある」と騙しての結果だったのです。確かに許すまじきはビッグファイア…
金田博士が将校を撃ったのは、「正太郎」を戦争に使わせないためじゃなくて、「正太郎」に組み込まれた太陽爆弾の起爆装置を使わせまいとしてのことだったのです。
そして、金田博士は太陽爆弾を始末すべく、研究所ごと、敵の爆撃の標的にさせたのでした。なんとまぁ…
父の無実を知る正太郎。
ところがビッグファイア博士はそんな金田博士を「馬鹿な奴だったよ」と言ってのけます。「せっかく日本が勝つチャンスだったのにねぇ」とは、確かにそのとおりなんだが… バギュームのために被害も甚大…
それに敷島博士が異議を唱えようとするとビッグファイア博士は「戦争に負けた途端、手のひら返して敵さんの猿まね、こんな国に未来なんてあるもんか。わたしゃなぁ、こんな日本、大嫌いだ」とまで言い出すのです。うーむ… ショウタロウとデジャブ… 「だから、わたしが正しい日本に道案内してやるんだ」とまで言っちゃうビッグファイア博士。
しかし、逆に正太郎が「おまえこそ、日本を出ていけ!」と言いました。「戦争が終わって、何もせず、何もできず、今頃出てきて、勝手なことばかり!」とは、今まで、さんざん言われ放題に嫌み言われたことへの言い返しでしょう。まぁ、実際、ビッグファイア博士は10年も戦犯で巣鴨にいたわけですし、不乱拳博士みたいに病院の中にいてもビッグオックス作っていたのとはわけが違いますからな。
でも正太郎を「戦後の生まれの子どもに何がわかる」と言っちゃうビッグファイア博士。
そこに金田博士の声が聞こえてきます。よほど金田博士が怖かったのか、「許すまじきはビッグファイア!」という言葉におののくビッグファイア博士。こりゃあ、トラウマでも植えつけられたんか?
しかも、そこにオックスに押された鉄人がなだれ込んできまして、ビッグファイア博士のいた部分だけ崩れ落ちてしまいました。あらまぁ…
その上、溶鉱炉から融けた鉄まで流れ落ちてきました。なんという事態…
流れ出た鉄に巻き込まれちゃうブラックオックスたち。
正太郎も「急がなきゃね」と言ってます。鉄人の太陽爆弾がそろそろ限界のようです。
ところが、その時、正太郎は撃たれてしまいました。
撃ったのはベラネードです。
「この兵器はわしがいただく。文句があるか」と言った上から、大きな影がかぶさっていることに気づきません。もう手遅れなんだよ、鉄人は…
そして、鉄人の鉄が流れる足に踏みつぶされてしまうベラネード。壮絶な最期だ、おっさん…
正太郎は無事でしたが、操縦器が撃たれてました。
それでは鉄人を操縦することができません。
そして、鉄人は一人で歩き出しました。真っ直ぐに正太郎に向かって来ます。
どうやら、鉄人にも最後の砦というか、記憶装置が搭載されていたような感じです。
近づいてくる鉄人を見つめて、正太郎は「これが自分の罪なのだと これが自分への罰なのだと そして受け入れるべきなのだ」とナレーション。
目をつぶる正太郎。
駆け寄ろうとする敷島博士や大塚署長の前で次々に柱が倒れていき、正太郎の姿も煙に紛れてしまいます。
流れ落ちる鉄から正太郎を庇ったのは鉄人でした。
助けに駆け寄ってきた敷島博士たちに逆らう正太郎。
でも、そこに金田博士の声が響きます。「これでいい。これでいいんだ」と言う金田博士。
こうして、鉄人は期せずして溶鉱炉に呑み込まれてしまいました。
黒部ダムはようやく完成し、日本は高度経済成長へ邁進します。
けれども
ここにひとつの鉄の塊がある
かつて鉄人28号と呼ばれたそれは 日本の高度成長を支えた礎のように姿を変え
平成と呼ばれる今もなお この日本のどこかに人知れず身を隠している
そして その姿は時代の全ての罪を一身に背負ったかのように 赤く 黒い
完結です。
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