ブルース=カミングス著。鄭敬謨、林哲共訳。シアレヒム社刊。全2巻。
「
朝鮮戦争」「
朝鮮戦争論」のブルース=カミングス氏の朝鮮戦争関係の著作です。時代的にこれが最初ですか。
日本敗戦前から、なぜ朝鮮戦争が起きたのかを朝鮮に対する国際的な施策などから詳細に描きます。まぁ、これでもかこれでもかと詳しいです。なにしろ初っぱながカイロ会談(1943年)ですから、戦争が終わるまで、朝鮮が解放されるまでまだ2年もかかるのを考えると先は長いのですが、まぁ、日本が無駄に頑張ったせいなんですが、アメリカも日本やドイツの敗北を確信していたのだと思うと、超大国のおごりというか、絶滅収容所でユダヤ人がばんばん殺されていたのを知っていても別に絶滅収容所を爆撃もせず、それよりもドイツを先に敗北させようとか考えちゃったアメリカの慢心とか、そんなものを考えて、暗澹たる気持ちになりました。
あと、カイロ会談の時点で中国の代表が蒋介石だったりするんですが、1949年の敗北を知っていると味わい深い… あ、国共合作で蒋介石が実質的なリーダーだったから、しょうがないのか。
そして、日本の敗北、朝鮮人民共和国の設立、アメリカ軍の占領、右翼の台頭、左翼の敗北と1947年までを詳細に描きますが、あれ、朝鮮戦争は1950年からのはずなんですが… と思ったら、奥付に全5巻と書いてあったのに、借りてきた藤沢市総合図書館には全2巻しかなく、どうやら「朝鮮戦争の起源2」という著作があって、こちらが1947〜1950年を補完してるようです。
道理で済州島四・三事件も麗水・順天の反乱も出ないわけや…
ただ、済州島四・三事件では他では考えられないくらい人が殺されたので、そこにはちょっとだけ触れてますが。
先日読んだ「
太白山脈(金達寿著)」の登場人物たちの後史や「
火山島」の李芳根たちの前史が垣間見えて、いろいろと切なくなりました。
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