小川一水著。早川書房刊。
「
時砂の王」「
老ヴォールの惑星」「
フリーランチの時代」などの小川一水さんの著書です。
時は未来。人類が月に基地を構え、惑星開発に乗り出した時代。地球と月を中継する軌道ステーション望天で起こった事故に巻き込まれた10名と犬1匹の、無事に帰還するまでの物語。
登場人物は皆、どこかで挫折していたり、一癖も二癖もあるような人びとだったりして、英雄のような存在はいません。これがハリウッド映画だと、二ノ瀬か久我山あたりが英雄になってそうですし、門前にいたっては凶悪なテロリストとかになりそうですが、ごく普通の人たちが、自分たちの持っている知識を出しあい、できることをして、望天の一部となってしまったピザ状の形をした区画と、そこにたまたま接岸していたために大きな役割を果たす、宇宙船との中で右往左往しつつ、頑張る話です。
表紙がその事故当時の望天と宇宙船わかたけの強制ドッキングの図になっていて、想像力がふくらませやすかったり、巧みに語られる未来予想図に、二ノ瀬たちがどうなるのか、はらはらしながら、一気に読み進んでしまいました。本読んで夜更かしなんて、何年ぶりだよ…
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