開高健著。朝日文庫刊。
ベトナム戦争のルポルタージュとしては、日本ではもっとも初期のものの1冊だそうだ。
いきなり冒頭に「サイボーグ009 ベトナム編」でも作中に登場した、サイゴンでいちばん流行っている寓話というのが出てきて、驚いた。元ネタはこれか〜
1965年と、まだ南ベトナム対北ベトナムの時代なので、アメリカがオブザーバー的な地位にしかないこと。しかし枯葉剤は使われ始めていること。著者が、いずれ北ベトナム対アメリカという構図を見抜いていること。でも、冷戦真っ只中の時代でもあるので、北ベトナムには行けなかったことなどがわかる。
ベトナムもののルポというと「戦場の村」とか傑作だと思うんだけど、その前に書かれた本作も、南ベトナム軍と一緒に従軍したり、仏教の坊さんと知り合ったり、地に足つけて、ベトナム人民の暮らしを見て、「全土が最前線だというこの国の戦争」に直面しつつ、という内容はまたおもしろく、興味深く、この人の目が捉えたベトナムをもっと知りたかったなぁと思った。
そして、あの戦争からもう30年以上が過ぎたわけだが、やはり一度、ベトナムへ行って、見てきたいものだなと思う。
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