この話が例の映画の原作になったやつでしたな。アレンの設定からしていきなり違う。うーん、こりゃ、原作者、怒るだろ。
世界のことわりがおかしくなっているという知らせを持って、エンラッドの王子アレンは助けを求めて魔法使いたちの島、ローク島を訪ねる。そこで大賢人ハイタカと会ったアレンは、アースシー世界のあちこちから同様の知らせが来ていることを告げ、その解決のためにアレンを伴ってちっぽけな船でロークを発つ。南のローバネリーは見事な織物の島だったが、染めの技を持つ魔女はその力を失っていた。その息子が二人の旅の連れとなるが、水を求めようとした島で手荒い歓迎を受けて死亡し、ハイタカも重傷を負う。二人は海を漂う民に助けられ、傷を癒すが、さらに旅を続け、ついに竜の棲むセリダー島に至る。二人はそこから死の国に下り、ハイタカは世界に均衡を取り戻すためにその全魔力を失い、竜に助けられてロークに帰還する。アレンこそは伝説に謳われし王であり、アースシー世界は失った王を取り戻すが、ハイタカの行方は知られてない。
4巻、5巻を先に読んでますと、3巻で終わっていたら美しかったかな〜と思いました。テルーのキャラクターはなかなか興味深いところはありますが、ル・グウィンさんのフェミニズム思考が「ゲド戦記」には合わないような気がします。
しかし、上で「原作者、怒るだろ」と書きましたが、正直なところ、この話、地味。おもしろいけど、派手な合戦もないし、ゲドもすっかり大賢人しちゃってるもんで、言動が荒くないから地味。なんでこの話を映画にしようと思ったのか、その時点で間違ってると思われます。どうせなら生意気ゲドの「影との戦い」の方がよほど話に強弱があって、映画にしやすかったんじゃねーかな。視点が完全にテナーに移ってますが、迷宮ものの「こわれた腕輪」をゲド視点で描き直すとか。この話はいちばん映画に向かんと思いました。あとはゲドがいないけど、竜が出てきて派手な「アースシーの風」とか。そうなったら「ゲド戦記」じゃ売れんだろうけどね。
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