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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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大地の牙 満州国演義6

船戸与一著。新潮社刊。

いよいよ最新刊まで読んでしまいました。続きが出るのは来年だろうか?

ヨーロッパでもドイツがポーランドに侵攻することで第二次世界大戦が勃発、ただ、超大国アメリカが参戦していないので、まだヨーロッパの戦争ぐらいのムードですが、カウントダウンは始まっています。
そして、満州でもノモンハン事変で日本は惨敗、事態は少しずつ、避けられない破滅へ向かっていく感じです。

太郎はとうとう別宅をこしらえ、路看を囲うようになりました。順風満帆っていうより、外務官僚としてできることが大してないので、不満のはけ口は性欲に持っていった感じです。兄弟のなかではいちばん平穏っていうか、その分、後に予想される波乱に対処できなさそうな気もしますが。
次郎は中国大陸をあちこち動き回っていますが、上海で四郎と再会、何と20年ぶりだそうなんで、太郎=40代後半、次郎=40代前半、三郎=30代、四郎=20代後半ぐらいが推定年齢。しかも、間垣徳蔵に利用されるだけだった四郎の環境を改善しようと脅しにかかりまして、上海で従軍慰安所をやらされていた四郎は、やっと、この特務の手を離れ、満映へ行くことになりました。お兄ちゃん来た━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!って感じが格好いいぜ。でも、あとは相変わらず無頼の徒なんで、上海に落ち着いて、インドの商人の依頼で対立する青弊の阿片組織を潰したり、人の暗殺をしたり、血生臭い環境に身を起き続けています。
三郎は憲兵のままですが、第5章のタイトルが「草原の死」だったんで、前半で長いこと一緒に活動していた部下(階級的。三郎の心情的には「師匠」な間柄)を呆気なく殺されたこともあり、まさか、兄弟の中で誰か死んでしまうんか〜?!と心配していましたが、三郎が長いこと追っていた抗日連軍の司令官が死んでしまったので、何となくほっとする。兄弟の中ではただ一人、自分の職務に誇りを持ち、突き進んでいる感じで、南京大虐殺も、それほどその信念は揺らがさなかったようです。逆に満州が倒れたら、死亡率はいちばん高そうなんですが、次郎ともども武闘派なんで、そういうキャラは死にやすいんだよね、船戸小説では。
四郎は次郎のところでも書きましたが、新聞記者生活を止めさせられて、間垣徳蔵の命令で上海へ。もう本人、流され人生を諦めているので、なすがままです。でも、次郎に助けてもらったので満映に就職できましたが、やっぱり満州からは離れられないのはしょうがないよね (´・ω・`) ただ、昔、「四郎さんは優しいだけ」と男としては屈辱的な台詞をぶつけられた女性と再会、よりを戻したというか、スネに傷を持つ身同士が傷をなめ合っているというかな感じで同棲生活に入りました。

次に読めるのは来年かな〜 是非、完結まで読ませてもらいたいものです (´・ω・`)

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灰塵の暦 満州国演義5

船戸与一著。新潮社刊。

この巻ではいよいよ日中戦争が勃発し、日本は泥沼の戦争の中へ突入していきます。そして、上海での戦いを経て、最終章では南京大虐殺を起こして、まだ続きます。年代としてはまだ1930年代なので、10巻ぐらいまで続きそうな勢い。

太郎は日本帝国の外務省の官僚から、満州国の外務省へ転勤になり、新京へ移ります。相変わらずの官僚人生一直線ですが、新京に越して家が大きくなったことで、妻の桂子に心境の変化が現れ、待望の男子誕生には至っていませんが、新しく雇った家政婦と情事を結ぶようになり、今後、どうなるか、わりと順風満帆な人生に見えただけに最終的な転落が心配な感じです。
次郎は、愛馬・雷神、愛犬・猪八戒を立て続けに亡くし、とうとう馬賊人生に見切りをつけて、背広を着、車を乗り回すようになりますが、風来坊なのは相変わらずです。太郎とは再会してませんが、三郎に会い、四郎に会いに天津へ移動。今後、どうなるのかまったくわからなくなってきました。
三郎は憲兵隊として満州から中国から忙しく飛び回っていますが、兄弟のなかではいちばん地に足がついてる感じで、奥さんとの仲も円満だし、任務に頑張ってます。しかし、最終章で南京大虐殺に遭遇したことで彼の人生にこれから変化があるのか、興味深いところです。
四郎はすっかり新聞記者生活が板についた感じで、巻の前半では北支周辺を飛び回り、後半では上海戦に張りつき、最終章では南京へ取材に行ってます。憲兵隊としてやってきた三郎と偶然に再会したりしてますが、最後では帰った模様。第4巻までの人に操られ、行く先も決められない流され人生にようやくピリオドを打てたような感じもしますが、南京大虐殺を目撃したことで、この先、どうなるのか、自主的に何かをするようになるのか、こちらも目が離せません。

実在の人物は、なにしろ時代が時代ですから、東条英機だの岸信介だの杉原千畝さんまで名前が挙って、驚いたよおいら。でも、そういう人たちはあくまでも話を彩るスパイスに過ぎず、舞台に現れることはありません。この物語を動かしているのは、裏で暗躍する、歴史に名を残した有名人なのかもしれませんが、話のなかで右往左往して、足掻いているのは架空の人物であるという辺りのこだわりが船戸さんだなぁと地に足のついた展開にほっとしてしまいます。

いよいよ発刊されている最後の巻に、次で追いついてしまいます。この国と戦争の行方はわかっていますが、そういう激動の時代に呑み込まれていく登場人物たちがどのような行く末を辿るのか、引き続き、見守りたいと思います。

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炎の回廊 満州国演義4

船戸与一著。新潮社刊。

2・26事件も含む激動の第4巻です。

それまで中国東北部をまったく別々に活動していた敷島4兄弟が、徐々にすれ違ったり、同じ町にいたり、一緒に行動したりするようになってきました。同じ人物に別々に関わったりして、錯綜し始める運命。

しかし、この長大な物語はまだまだ終わる気配を見せません。きっと満州国が日本の敗戦で失われるまで書かれるのでしょう。その時、敷島4兄弟はどこにおり、何をして、何を考えているのか、興味深いです。ただし、武闘派の次男と三男は、どっちかが確実に死んでそうな気がするんですが… 特にアウトローの次郎は危なっかしい。三郎も、憲兵隊だけど、安穏と日本には帰らなさそうで… 逆に頭脳派の長男と末っ子は最後まで生き延びるんじゃないかと思ってるんですが、特に長男は外務省の官僚だし。ただ、サプライズで四郎死亡とか、太郎だけ帰国とか、なにしろ船戸小説なんで、そこら辺は最後まで余談を許しませんw

太郎はずーっと奉天領事館に勤務。最後まで動かなさそうな気配。息子を失い、妻とセックスができないと悩んでいたけど、この巻で復帰。

次郎は相変わらず満州のあちこちを放浪。前巻で助けた満人旗人の娘が阿片中毒になったというので治療を受けさせる辺り、優しい人ですが、そのために特務機関のイヌになるのは何とも複雑。ていうか、次郎がいまのところ、いちばん気に入ってるもので… でも、ラストで中国共産党の工作員に接触、その信念の強さを見せられたことで、兄弟の中で唯一、中国のために戦うなんて選択肢もあっていいと思うんだが…

三郎は相変わらず憲兵隊。なにしろ輝かしい憲兵隊の星になっちゃって、めでたく大尉に昇進、奥さんも懐妊したようで、表面的にはいちばん順風満帆な人生。しかし新京に引っ越したし、憲兵隊の任務は奥さんに言えるようなことじゃないし、奥さんとすれ違っちゃったりするんだろうか。船戸小説だしな。

四郎は新聞記者に転職。しかし、本人、自分の流され人生に嫌気がさしていても、「人から与えられた仕事しかしたことがない」と嘆いても、言われるままに動いてます。ささやかな抵抗として、中国人向けの親日新聞の中で反日とは言わないまでも中立的な記事を書こうとしてますが、まだ採用にはなってないらしい。この先、南京大虐殺を目撃するそうなんで、それでどう転ぶかが見物。兄弟の中では、もともとアナーキストの劇団に所属していたこともあるんで、中国の共産党には近そうなんだけど、特務機関にいいようにこき使われているので、今のままでは難しそう。

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群狼の舞 満州国演義3

船戸与一著。新潮社刊。

満州の建国から始まる第3巻です。敷島4兄弟の環境もいろいろと変わりつつあり、特に末っ子の四郎の変貌ぶりが凄まじいです。第3巻の冒頭ではまだ上海にいたのに、最後には日本の第二次満州移民村に通訳として住み込んでいます。うーむ、第5巻では新聞記者となって南京大虐殺に立ち会うことになるそうですから、いろいろな才能はあるんでしょうが、相変わらずの流され&利用されの人生。一回、東京に帰ったものの、義母が自分を吊るし上げようとした特高の刑事と乳繰り合う仲になっちゃったのを目撃して、その刑事を射殺、逃げるようにまた中国へ戻ってます。上海では最初の慰安所なんかも作らされちゃって、これから先が心配。

武闘派の次郎も、中国北東部をあっちに行ったり、こっちに来たり。金のために、たまに特務機関に雇われたりしていますが、一ヶ所に落ち着けないたちなので、流浪の人生が性に合うようです。でも、かつては一緒に復讐もした辛雨広(部下の息子)に去られ、上海事変に関わったり、日本のために汚い仕事なんかも請け負ったことも知られて、辛雨広に命を狙われていたり。武闘派なんで、最後まで生き延びそうにありませんが、4兄弟のなかでは好きな人物なんで、ひょうひょうと生き延びてほしいもんでありますが。

長男の太郎と三男の三郎は身辺の変化は特にありませんが、仕事に忙しい毎日。あ、三郎は結婚したのか。太郎の息子が第3巻の最後で亡くなっているんですが、これはどういう伏線なんだろうか?

あと、第3巻では日本軍による中国での虐殺事件として悪名高い平頂山事件を、次郎が目撃、太郎が現場検証などを行っており、うやむやにしたり、なかったことにしたりしていないのが、さすが船戸さん。

引き続き、4巻へと読み進めたいのですが、第6巻でも完結してなそうで、著者の最長小説になりそうな感じです。

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風の払暁&事変の夜 満州国演義1&2

船戸与一著。新潮社刊。

現在、「6」まで出ている船戸さんの最新作。やっと読み始めました。

それぞれに性格も仕事も異なる敷島家の4人兄弟を狂言廻しに、満州国の独立前夜から描く、壮大な叙事詩です。
長男の太郎は、外務省の官僚で、奉天総領事館勤務の参事官。結婚していて、最初は妻と2人暮らしでしたが、2巻で長男が生まれ、3巻で長女が生まれたところ。関東軍の暴走に頭を痛めつつ、日本のために立ち回ろうとするインテリゲンチャです。
次男の次郎は東京で暴行事件に巻き込まれ、片目を失ったのをきっかけに大陸へ。中国の東北部(後の満州)で馬賊となってます。1巻で部下を失い、2巻で復讐を果たすものの、馬賊には戻らず、特務機関にいいように使われている節も。
三男の三郎は関東軍の軍人で、1巻で憲兵隊に所属替え。2巻でお見合いをして、3巻中に結婚しそうです。次郎とは違った武闘派で、軍のためなら、兄に銃を向けることも厭わない石頭っぽい人物。
四男の四郎は兄弟の中で唯一の学生で東京に残っており、アナーキストに傾倒していましたが、特高に目をつけられて、義母と乳繰り合う仲になり、父の死後、上海へ送り込まれ、今も上海にいます。太郎とは違ったインテリなんだけど、なにしろ若くてものを知らないところにつけ込まれてる感じです。

この4人の視点で描かれる激動の時代、いったい、どんな結末をつけてくれるのか、楽しみに読んでいます。

ちなみに、全然関係ないんだけど、4人はそれぞれ「はいからさんが通る」の冬星さん、鬼島軍曹、少尉、蘭丸に当てはめて、よくできた漫画だったな〜と変なところで感心したり。
今のところ、無頼の徒である次郎くんがわし好みなんですが、日本の汚れ仕事なんかやらされるようになって、柳絮のように生きていくなんて口癖がちょっとむなしいのは、誰もが手を汚さずにいられない船戸小説にあっては宿命なのか…

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