船戸与一著。新潮社刊。
いよいよ最新刊まで読んでしまいました。続きが出るのは来年だろうか?
ヨーロッパでもドイツがポーランドに侵攻することで第二次世界大戦が勃発、ただ、超大国アメリカが参戦していないので、まだヨーロッパの戦争ぐらいのムードですが、カウントダウンは始まっています。
そして、満州でもノモンハン事変で日本は惨敗、事態は少しずつ、避けられない破滅へ向かっていく感じです。
太郎はとうとう別宅をこしらえ、路看を囲うようになりました。順風満帆っていうより、外務官僚としてできることが大してないので、不満のはけ口は性欲に持っていった感じです。兄弟のなかではいちばん平穏っていうか、その分、後に予想される波乱に対処できなさそうな気もしますが。
次郎は中国大陸をあちこち動き回っていますが、上海で四郎と再会、何と20年ぶりだそうなんで、太郎=40代後半、次郎=40代前半、三郎=30代、四郎=20代後半ぐらいが推定年齢。しかも、間垣徳蔵に利用されるだけだった四郎の環境を改善しようと脅しにかかりまして、上海で従軍慰安所をやらされていた四郎は、やっと、この特務の手を離れ、満映へ行くことになりました。お兄ちゃん来た━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!って感じが格好いいぜ。でも、あとは相変わらず無頼の徒なんで、上海に落ち着いて、インドの商人の依頼で対立する青弊の阿片組織を潰したり、人の暗殺をしたり、血生臭い環境に身を起き続けています。
三郎は憲兵のままですが、第5章のタイトルが「草原の死」だったんで、前半で長いこと一緒に活動していた部下(階級的。三郎の心情的には「師匠」な間柄)を呆気なく殺されたこともあり、まさか、兄弟の中で誰か死んでしまうんか〜?!と心配していましたが、三郎が長いこと追っていた抗日連軍の司令官が死んでしまったので、何となくほっとする。兄弟の中ではただ一人、自分の職務に誇りを持ち、突き進んでいる感じで、南京大虐殺も、それほどその信念は揺らがさなかったようです。逆に満州が倒れたら、死亡率はいちばん高そうなんですが、次郎ともども武闘派なんで、そういうキャラは死にやすいんだよね、船戸小説では。
四郎は次郎のところでも書きましたが、新聞記者生活を止めさせられて、間垣徳蔵の命令で上海へ。もう本人、流され人生を諦めているので、なすがままです。でも、次郎に助けてもらったので満映に就職できましたが、やっぱり満州からは離れられないのはしょうがないよね (´・ω・`) ただ、昔、「四郎さんは優しいだけ」と男としては屈辱的な台詞をぶつけられた女性と再会、よりを戻したというか、スネに傷を持つ身同士が傷をなめ合っているというかな感じで同棲生活に入りました。
次に読めるのは来年かな〜 是非、完結まで読ませてもらいたいものです (´・ω・`)
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