監督:ウイリアム・ワイラー
出演:グレン=グリフィン(ハンフリー=ボガート)、ハル=グリフィン(デューイ=マーチン)、コールヴィ(ロバート=ミドルトン)、ダン=ヒリヤード(フレドリック=マーチ)、エリー=ヒリヤード(マーサ=スコット)、シンディ=ヒリヤード(マリー=マーフィ)、ほか
原作:ジョセフ=ヘイズ
1955年、アメリカ
グリフィン兄弟が脱獄した。2人に前科三犯のコールヴィを加えた3人は、偶然、主婦エリーが留守番をするヒリヤード家に侵入し、帰ってきた家族を人質に、グレンの情婦が金を持ってくる夜中まで、という条件で居座る。ところが、日頃からグリフィンに恨みを持つ警官がグレンの情婦に目をつけていたせいで、3人の占領は日延べし、一家の緊張は増していくのだった…。
実話に基づくサスペンスだそうですが、正直、こんな役、ボガートにやらせなくてもって感じです。というか、タイトルからもっと逃亡者=脱獄者の側に理がある話かと思っていたら、別にそういうことはなくて、単なる脱獄犯で、ただの悪役ってのが同情の余地もない感じだ〜
しかし、よく考えてみますとこの映画が作られた1955年というのはハリウッド全盛期でして、いわゆるスター俳優って悪役をやらなかったんだよね、ほとんど。それはこういう同情の余地もない悪役をスターにやらせないという約束事がハリウッド映画界にあって、そんななかでのボガートの決断は、すごく勇気のあることだったのかもしれません。ずっと後で「ウェスタン」という映画で、ヘンリー=フォンダ氏が悪役をやったために興行の結果が悪かったという話も聞きます。カラーですんで、1960年代か、へたすると70年代の映画です。そんなになってもまだスターは悪役をやってはいけなかった。とすると、1950年代に悪役をやったってことはすごいなぁと改めて思いました。
見終わった時にはボガートさんももうちょっと仕事選んでよ〜と思いましたが、単なるお父さんの引き立て役でも、いわゆるスターが悪役をやったという点においては、「
俳優は悪役やってなんぼ。高橋英樹に悪役をやらせる会会長(←自称。会長含めて会員2名)」を自認する身といたしましては、記念碑的な映画に上げてもいいと思います。
ちなみにお父さんの立場で見ると、最初は銀行の頭取という以外には冴えなかったお父さんが、一家の危機に立ち上がり、最後は息子との絆も見せてくれて、いい映画となっています。お父さん、格好いいです。ちょっと暴走気味の娘の彼氏をうちに招くあたり、ユーモアもあるし。
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