久々にキャラ語り、復活。鉄牛はEpisode 6にはまったく登場しませんので、Episode 5いきます。ちゅうか、Episode 1〜4までも含めて、長々と語ります。戴宗のこととかもずいぶん、語ってます。くそ長いのでご注意。
Episode 5は、今まで登場し、生存したキャラたちにとってあれこれ転換点となったのではないでしょうか。また、ここから初登場の梁山泊の好漢たちにとっても、バシュタールの真実を知る、という意味では大きな転換点になったはずだと思います。
たとえば、
・大作はお父さんの遺言を思い出し、改めてロボとの絆に気づき、戦う意志を固めた。
・銀鈴はフォーグラー博士の死の事実を知り、兄・幻夜の目的が父の遺言だと知らされ、心が大きく揺れ動いた。
・衝撃のアルベルトは「地球静止作戦」に疑問を抱くも、幻夜に撃たれて行方不明。
・村雨健二が再び、大作の前に現れる。
一清道人だけ、あんまり変わりがないような…
・黄信、花栄らは、呉学人からバシュタールの真実を知らされる。世界の仇と憎んでいたフォーグラー博士が実は犠牲者だったと知る。
で、ここで今回のメイン・テーマ、鉄牛の場合、戴宗の兄貴と楊志の姐さんという、実の兄弟とも慕った二人を失い、前エピソードの最終決戦から、大作を守るモードに転換、このエピソードでは、コ・エンシャク、幻夜との対決の中で、自分がなぜ大作を気に入らなかったのか、自分が大作に何を見ていたのかに気づき、はっきりと大作を守るという意志を固めるわけであります。
で、サブタイトルの「過ぎ去りし、少年のあの日々…」というのは、大作は今も少年なので大作ではないとして、十中八九、幻夜のことだと思うのですが、また敢えて、わしは言いたい。13歳の時に己の手でBF団だった父親を殺してしまったと告白する鉄牛、大作の中に「13歳の自分、親父をこの手で殺しちまった自分を映し込んでいた」鉄牛にとっても、「過ぎ去りし、少年のあの日々…」なのではないだろうかと。
なぜなら、鉄牛は、その後、国際警察機構に身を寄せ、戴宗の兄貴と会うわけです(楊志の姐さんとは、戴宗の兄貴と結婚後、かもしれないし、姐さんの兄貴な性格を考えると、また別に慕っていたとも考えられなくもありませんが、それほど親密ではなかったと考えてもいいかと思います)。たぶん、それほど間は空いてないでしょう。
父親を殺したというトラウマに悩まされたであろう(現に彼は25歳までそのトラウマを背負って、大作に映し込んでいたわけですから、かなり根は深かったろうと思います)鉄牛にとって、戴宗の兄貴の存在がどれだけの救いになり、助けになったか、はかり知れません。
ここでかなり突っ込んだ、かつ鉄牛にとっては「ファザコン」的な烙印を押しちゃうような話をしますと、鉄牛はあくまで「兄貴」と呼んではいるわけですし、たった2歳しか違わない2人ですが、戴宗の「地球静止作戦」での27歳とは思えない老成ぶりを鑑みるに、鉄牛にとって戴宗という存在は、また自分の手で殺めてしまった父の代わりでもあり、そうあってほしかった父の姿でもあったのではないでしょうか? BF団などという悪の組織に荷担する父親ではなく、国際警察機構という正義のために戦う父親、その姿を13歳の少年だった鉄牛が戴宗に見たとは言っても、過言ではないと思うのです。なんでここで中条長官でないのかと言うと、そこまでの絆は描かれないからです。また「静かなる」の異名どおり、中条長官の他キャラとの関わり合い方はすごく薄かったのではないでしょうか。それは、中条長官が12年前、すでに九大天王だった可能性もあることを考えると(年齢的には十分あり得ますし)、ますます「静かなる中条」として自分の思いも、部下たちへの情感も秘めていたのではないかと思います。
そして、鉄牛はその時の少年の思いを25歳まで引きずり続け、戴宗はそうとは知ってか知らずか、常に鉄牛の先に居続けた。頼りになる兄貴として、あるいは鉄牛の幻の、理想の父親のあるべき姿として、九大天王の位を受け、「地球静止作戦」の最中にも実戦に出ることのない中条長官に替わって戦い続け、ついに上海で散ってしまった戴宗。
鉄牛はそのあいだ、ずっと戴宗の背中を見続けていたに違いない。戴宗が九大天王となった時も、他に花栄と黄信という候補がいたけど、この2人は「常に戦場では部下とともにあるのを信条にしているので断った」というエピソードがキャラクターの設定資料集などで披露されています。ということは、戴宗がそれを引き受ける時にはどんな気持ちであったのか、九大天王となっても決して前線から引かなかったであろう(Episode 1でシズマ博士の救出を鉄牛と銀鈴に任せているのは、この2人の実力と、後で助けに行く大作&ロボの初参戦などを鑑みて、あえて前線から引いていたようにも見えます。銀鈴の台詞でしかわかりませんが、大作&ロボはこのシズマ博士救出作戦が北京支部の一員としての初めての戦いだったわけだから、大作が皆に溶け込みやすいよう、戴宗が気を遣ったと考えるのもごく自然な話かと思うわけです)彼のことを考えると、そうして困難な役も引き受けることで、人として、男として、大人として、意識せずとも鉄牛や大作、あるいは銀鈴たちの手本であり続けようとした「兄貴」な戴宗の姿を見ることができるのではないでしょうか。
しかし、Episode 3〜4の流れで、結果的には自分のしたことのため(もちろん、それだけで戴宗が死んだ、などというのは、曲がりなりにも九大天王である戴宗への最大の侮辱ではないかと思いますが)にアルベルトとの対決で亡くなってしまった戴宗、兄貴とも父とも慕った彼を失った鉄牛の嘆きはいかばかりであったか、Episode 4での咆哮がその心境を、血を吐くようなその思いを伝えているのではないか、と思うわけです。
長いなぁ。
まぁ、お茶でも。(* ̄∀ ̄)_且さて、ここでサブタイトルに話が戻りますが、戴宗の兄貴がいた時の鉄牛は、25歳の大人とはいえ、心情的にはずっと、初めて兄貴と会った頃、父親を殺してしまった13歳の頃だったのではないか。ですが、その兄貴が死んでしまった。Episode 5の冒頭で楊志の姐さんも死亡フラグが決定してしまいます。一度に兄とも父とも(これはかなり拡大解釈な気もしますが、「父と子」が「ジャイアントロボ」のテーマでもあるわけなので、あながち言い過ぎとも思えないわけですな。それにしてはでかすぎる息子だ)慕った戴宗とその伴侶・楊志を失ってしまった鉄牛。その責任の一端が自分の行動にもあった鉄牛。
ここで、鉄牛はようやく「過ぎ去りし、少年のあの日々…」に気づいたのではないでしょうか。もはや彼は少年ではない。大作が「こんな俺みたいな間違った大人にならないよう」に導かねばならない大人になってしまっていたのですから。
ところで、梁山泊からの救助隊が一度、銀鈴の指輪に通信します。この時、助けを求めようとする銀鈴を止めた鉄牛。「すまねぇ。ここは俺に任せてくれねぇか」と言って銀鈴を見つめる鉄牛には、Episode 1で、銀鈴に「でっ、でぇとぉ」と言ってた時の面影はありません。でも、チャプターのタイトルが「銀鈴と鉄牛、その愛」だって! ここはついにデートがかなわなかった鉄牛の銀鈴への想いが報われたことを喜ぶべきなのか、あくまでこの「愛」は同志愛に過ぎないのか。あるいは銀鈴の恋人は村雨健二というのはLast Episodeになってようやく明かされるわけですが(その前に「素足のGinRei」あるね)、銀鈴はどちらかというと大人っぽい男性が好みと見た。その銀鈴のお眼鏡にようやく鉄牛もかなうようになったと見るべきか。今までは子どもっぽい同志に過ぎなかったけど(7歳も違うのに、Episode 1で「馬鹿牛」呼ばわりとは、2人のこの時点での力関係が伺える)、この時、初めて銀鈴は対等な同志として鉄牛を見たのか。などといろいろと妄想はふくらむわけであります。しかし、このチャプタータイトルを見た時に、鉄牛ファンとして、ついに鉄牛のかなわなかった片思いがちょっとでもかなえられたことを、わしは素直に浮かれてもいいと思いました。
しかし、この時、花栄や黄信らがいても、コ・エンシャク相手ではかなり辛かったろうな〜という気がしなくもありません。見てみたかった気もするけど、雪崩が起きてそうな戦いになってたかも、とか。
まぁ、Episode 5は、黄信や花栄たちは顔見せ程度で、ここは鉄牛の戴宗&楊志からの卒業(ちゅうか、親離れっちゅうか)、というのをはっきり立たせたかったような気もしますので、ニュー・メンバーの出番はなかったろうな、とも思うわけです。
ただ、どっちかというと、頭脳派でない鉄牛ですから、立てた作戦もわりと単純なものでしたし、伏兵コ・エンシャクをすっかり忘れていたようなので、一度はコ・エンシャクに倒されてしまいますが、そこは鉄牛、「しゃらくせぇ!」の一言で復活します。楊志の姐さんも苦戦させられたコ・エンシャクを一撃(スタッフによると、コ・エンシャクは仮面が弱点なんだそうで、鉄牛に仮面を割られたので苦しんだそうです。そのわりにはラストでしっかりアルベルトを捕縛しとったけどな)、幻夜に撃たれても前進を続け、ついにはギャロップでご臨終…と思わせておいて、つぶされたシーンがないので(演出ではいかにも鉄牛が逃れようがなかったみたいな感じだけど、実際につぶされた描き方はしてない)、しっかりLast Episodeで復活するわけでありますが、血の独白に続きます。
名シーンは数々ある「ジャイアントロボ」ですが、声優さんの熱演という意味では、白眉に位置する「鉄牛、血の独白」。声優さんの力で、大作をひっぱたく黄信というシーンも作られましたが。このシーンが白眉であるという考えに異論は認めません。
で、その時に登場する、13歳の鉄牛。頬の傷の生々しさが、実の父親によってつけられたものだ、ということをも物語るシーン。
おお〜、今回の語りで初めてのキャプチャーですな。
さらに調子に乗ってもう1枚。
「俺みてぇな、こんな大人にならないようにな!」と雄叫びを上げる鉄牛。
重いなぁ。大作にみんなが託したものは何て重い。
草間博士は「世界を守っておくれ」とジャイアントロボを託し、戴宗と楊志は亡くなってしまった。鉄牛は「これからは俺が守ってやる」と言う。
たくさんのお父さんと、お父さんのように見守ってくれる人たちからたくさんの思いを託された大作とロボ。しかも、Episode 5では、大作はフォーグラー博士の思いまで背負ってしまったかもしれない。
それでも戦い続ける大作が、わしはやっぱり好きなんだなぁと思いました。
たぶん、まだ続きます。鉄牛についてはあらかた語り尽くしてしまったような気がしないでもありませんが。
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