監督:エルンスト=ルビッチ
出演:マリア=トゥーラ(キャロル=ロンバード)、ヨーゼフ=トゥーラ(ジャック=ベニー)、ソビンスキー(ロバート=スタック)、エアハルト大佐(シグ=ルーマン)、シレツキー教授(スタンリー=リッジス)、ほか
アメリカ、1942年
舞台がポーランドのワルシャワになってますがアメリカ映画です。
ポーランドの首都ワルシャワ。「ハムレット」の上演中、夫ヨーゼフの目を盗んで花束を贈るソビンスキーと逢い引きをするマリアだったが、そこにドイツが攻め込んできたとの報せが届く。第二次世界大戦の始まりであった。空軍中尉のソビンスキーはロンドンに亡命し、連日、ベルリンへの爆撃に参戦していたが、ある時、ポーランド亡命政府の密命でワルシャワに向かうというシレツキー教授が、ワルシャワの人間だったなら知らなければならない著名人、つまり大ファンのマリア=トゥーラを知らないと言うのでスパイではと疑いを抱く。彼は上司の命を受けてポーランドに潜入し、シレツキー教授を追う。シレツキーの手に渡ったソビンスキーの同僚たちの情報は、ゲシュタポに渡れば絶大な被害をもたらすものだったからだ。シレツキー教授に呼び出されたマリアはソビンスキーからの伝言を受け取り、夕食に招待される。そうと知った夫のヨーゼフは、シレツキーを罠にはめるべく、俳優仲間と一芝居打とうと画策する。戦争の直前、ちょうどゲシュタポをおちょくる芝居を上演しようとしていて、本物そっくりの制服やヒトラーそっくりのメイク、ゲシュタポ本部に似せたセットなどが残っていたのだ。だがシレツキーは途中でセットだと気がついて逃亡をはかるが、射殺されてしまう。だがシレツキーに呼び出されたマリアが帰ってこず、シレツキーのトランクにはリストのコピーもあるという。ヨーゼフはシレツキーそっくりにメイクしてゲシュタポが占領したホテル・オイロペスキーに向かうが…。
ゲシュタポが占領したホテルが、わしがワルシャワで泊まった時の拠点、オイロペスキーだったので、戦前はこんなだったのかぁと驚きましたが、よく考えたら、1942年公開のアメリカ映画なんで、ワルシャワにロケは行ってないはずだよな…
↓ ものほんのホテル・オイロペスキー。ただし60年後。サスキ公園から見たところ。
道理で部屋の調度がやたら豪華だと思いましたが、それはマレーネ=ディートリヒも泊まったというホテル・ブリストルのが良かったんじゃないかなぁ… ブリストルのが格上だそうだし。
という突っ込みは右におき、基本、コメディです。なので、タイトルの台詞はかの「ハムレット」のものですが、ハムレットの独白で長いんですね。で、そのあいだに夫の目を盗んで逢い引きをするというラブコメっぽかったんですが、その直後に戦争が始まってしまいます。
ただ、戦争が始まってもあくまでもコメディなんで、ゲシュタポは馬鹿っぽいところがあるし、ヒトラーは「腐ったチーズ」だし、ヒトラーの扮装でゲシュタポも騙されちゃうし、1942年に敵をおちょくるような映画が撮れるんですからアメリカの底力というのは半端ないと思います。あと、一応、ポーランド応援映画らしいんですが、この応援されてるポーランドというのはロンドンに亡命政府を築いた方で共産党じゃないんだな… ということは1944年にワルシャワで蜂起して赤軍に見殺しにされちゃった方で…
そういう歴史なんかも鑑みると意外と重たい映画ですが、主役のヨーゼフ=トゥーラの俳優ならではの悩みというか、自分の台詞(しかも長い)が始まると席を立つ観客がいるというシチュエーションが繰り返されるのはちょっと退屈(たぶんワルシャワでもロンドンでも逢い引きのためだろうけど)。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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