アート=スピーゲルマン著。小野耕世訳。晶文社刊。全2巻。
20年くらい前に読んだことがありまして、本も持ってたんですが、在庫一掃セールで手放してしまいまして、久しぶりに見たんで、懐かしくなって借りてきました。
サブタイトルのとおり、アウシュヴィッツの生還者である両親を持つ著者が、1982年まで生存していたお父さんにインタビューして、ユダヤ人=ネズミ(タイトルはここから)、ドイツ人=猫、ポーランド人=豚、フランス人=カエル、アメリカ人=犬、スウェーデン人=鹿、ジプシー=蝶と大胆な隠喩をしたことで世界的なヒットとなった漫画です。
お父さんのヴラデック(ポーランド系ユダヤ人)がカリカチュアされたユダヤ人そのまんまに吝嗇なところや、アウシュヴィッツでは「本当に良き人びとは皆帰らなかった」と言われるとおりに様々な知恵を働かして生きのびること、それにはどうしても人より優れていて、人より役に立つとナチスやカポー(監視役の囚人)に思わせなければならず、それはすなわち、隣人たちの死を意味していたこと、そんなことを赤裸々に綴られた漫画です。
ホロコースト物としては異色ですが、お薦めです。
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