監督:木村大作
出演:柴崎芳太郎(浅野忠信)、宇治長次郎(香川照之)、生田信(松田龍平)、木山竹吉(モロ師岡)、古田盛作(役所広司)、小島烏水(仲村トオル)、行者(夏八木勲)、柴崎葉津よ(宮崎あおい)、ほか
原作:新田次郎
見たところ:ワーナーマイカル海老名
久々の浅野忠信氏の新作です。香川照之氏があんまし好きじゃないんで、どうかな〜と心配してましたが、今作では抑えた演技でなかなか良かったです。しかし、宮崎あおいは完全にミスキャストだと思う。もう少し、大人の雰囲気を持った女性に演じてもらいたかった〜 出番少ないから、どうでもいいっちゃどうでもいいんですが。
冒頭5分ほど見逃しましたが、そんなに問題ないかと。いきなり柴崎と長次郎が山登ってたけんどね。
明治時代末期、陸軍参謀本部陸地測量部に所属する柴崎芳太郎に、未踏峰とされてきた劔岳に登頂し、測量せよとの命令が下る。先輩の古田盛作の助言で山の案内人に宇治長次郎を選んだ柴崎は、いつの間にか日本山岳会との劔岳初登頂をどちらが果たすかという争いに巻き込まれるも、自らの仕事をこなしていくのだった。
マスコミどころか陸軍参謀本部まで劔岳の初登頂はどっちだ?と躍起になるんだけど、こつこつと自分の仕事をしていく柴崎や測量部の人たちと、彼を影ながらに支え続ける長次郎を初めとした地元の人たちとの交流がわりと淡々と描かれます。
ほんとに淡々としてるもんで、肝心の劔岳登頂も意外と地味だったりして、あんまり盛り上がりません。作中で日本山岳会の小島が柴崎に言いますが、「あなたたちにとっては登ってからが仕事なのだと」。まさにそのとおりで、登るだけでは終わらない。登ってからが一仕事なわけで、周りがいくら騒いでも、自分の仕事を淡々と進める柴崎はクールだとも言えるのでした。
途中まで傲慢で高飛車なところもあった生田信が、長次郎たちに敬意を示すところなんかは、互いに己の仕事をこなすプロ意識の目覚めという点でももうちょっと感動的に描いても良かったんじゃないか〜と思ったりしましたが、全編、クールさというか、淡々とした描写に貫かれていました。
浅野忠信氏はこういうキャラを演じる時はほんとに真摯な姿勢で、長次郎だけでなく、荷物を負う人びとに示す敬意も、その上司である陸軍が高飛車であるだけに、余計格好良く見えたりしましたな。
エンド・クレジットで「仲間たち」ということで、役者もスタッフも特に表記なく綴ったのは、この映画を作る上で、誰が欠けても成り立たなかったのだよ、という監督のメッセージと、同じようにわしらのいるこの世界も、仲間が欠けていてはいけないんだよというメッセージにも受け取れました。
良作。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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