呂宋の壺を持ち帰った助左右衛門は利休を訪ね、目利きを頼む。この壺を1満貫と値をつけて、秀吉や諸大名に買わせようという魂胆だ。堺の自由貿易を守るためというその案に乗った利休は、早速、壺を買い、己の命の値段も含めて5千貫だと秀吉に告げ、名器しじゅっそくの壺にも負けず劣らぬ壺だと言う。これを受けた秀吉は諸大名を集めて壺を売る場所を提供するが、5千貫を割った時、1個でも壺が売れ残った時は利休に切腹を迫る。果たして、壺は1個1満貫で売れた。しかも安国寺恵瓊より船ごと海賊を買えと相談された助左右衛門は、1日にして大商船団の主となったのである。
助左、一世一代の大博打です。最初、呂宋の壺を見た美緒は、助左に引っ込めるよう言いますが、それが堺の自由貿易を守るためと聞き、利休は命がけで乗ります。ここらへんの懐の広さが利休のええところです。対する秀吉の小物っぷりが情けないというか、下手に権力持ってるから、始末に負えないっていうか。
しかも、これに安国寺恵瓊という、一癖ある坊主が乗ります。この人、かつて、宗久に「信長は長くない。次は秀吉」と予言した人で、伊予の領主だそうです。偉くなったんだな、そういや、毛利方についとったけど。世廻りがうまいっていうか。助左とか対照的な気もしますが。でも、「利休がしじゅっこくの壺にも劣らないと言ったんだから、1満貫以下で買っちゃいかん!」と言い出して、秀吉を慌てさせ、悠々とそれを遮り、「しじゅっこくの壺にも失礼だ」ってな論理を展開して、無理無理1満貫の値をつけてしまったのはこの人です。逆に、この人が言い出さねば、利休も助左も切腹となるところでした。で、このおっさん、壺に1満貫の価値もないことは承知の上で、助左に取引を持ちかけます。秀吉の海賊禁止令のせいで、領内の海賊がおまんまの食い上げなんだそうです。それを黙認してる領主ってのもどうかと思いますが、豪快っちゅうか、いい加減ちゅうか。かつて、大英帝国公認の海賊とかいたと思ったんで(ドレイクとかって名前だったような…)、それと同じようなものですな。他人の領地を荒らす分にはいいのか。で、そいつらが暇してるんで、助左に雇えというわけです。しかし、助左も伊達に太閤相手に大博打は打ってません。「手前の船には朱印状がないので海賊船になるが、それでもいいのか?」ってわけです。でも、坊さん、逆にこの回答が気に入ったようで(気に入ったという辺り、胡散臭いんだけど、ええキャラだと思います。神山繁さんの胡散臭さがまた良し。出番少ないけど、強烈な印象を残すキャラですね)、助左、労せずして水夫と船を手に入れてしまいました。
しかも、堺の助左の店でも水夫の応募が押せや押せやの大反響。五右衛門と一緒に部下たちが仕切っているのが何とも微笑ましいです。野盗だったのに、という話はこの際、なしです。助左にとっては窮地を助けてくれ、呂宋まで生死をともにした大事な仲間になったわけですし。
そして、ラスト、助左、今までの髪をオールバックにして、きっちりゆわえて、みだしなみもよくってスタイルをやめて、ちょっと海賊の頭っぽい格好をしてきました。
似合わねぇ〜ッ! この人、きちんとした格好の方がええようです。
でも、その後ろに五右衛門が立って、助左の右腕って図は、とうとうこの時が来たのだ〜と思わず感動しちゃいます。そこに善住坊がいればなぁ( ´Д⊂ヽ 奇妙な縁で結ばれた3人の、理想的な姿って気もするんだよなぁ( ´Д⊂ヽ
ええ、前回までで、助左とはっきり対立を見せていた石田三成くんですが、今回の壺売りで最後に3個余った時に、思わず「わたしが買います」と言ってしまいます。たかが堺奉行の石田くんに3満貫はすさまじく高いようです。上の安国寺恵瓊が「たかだか2万石の領主に1満貫は痛い出費」と言わせてますんで、たぶん、1年分の給与なんてものじゃなさそうです。でも、売れ残ったら、助左も利休も切腹だってんで、思わず買うと言う石田くんに、かつての助左との友情を思い出しました。彼も彼なりに苦悩してるんだろうなと。
ただ、この残った3個の壺は、秀吉に「3個売れ残ったぞ」と言われて、利休が「本望です」と返しており、ここまできて、秀吉が1個も買わねってわけにはいかずに3個とも買いましたんで、石田くん、無理な出費をしないで済みました。
しかし、秀吉にとっては、ますます助左は目の上のたんこぶ、利休も何かへますれば、すぐにでも切腹させてやる〜てな人物にリストアップされたのは間違いなさそうです。
久々に小西隆佐、宇野重吉さんが登場だ〜!とはぁはぁして見ておりましたら、第1話で、松島の葉茶壺を当時の宗易が宗久に信長に渡せないかなと相談するシーンの再来でした。あの時も助左が背負ったんだよ(で、五右衛門が盗もうとしたんですよ)と聞かされて、感慨深げな利休でした。
さぁ、これで準備は整いました。助左右衛門、いよいよ太閤相手に戦いです! 個人的に助左が輝くのは前回からラストまでです(五右衛門釜ゆでの回を除く)。なんか、全編に渡って、主人公が格好良くなくても、他の魅力的なキャラで引っ張ってこれてもいいんじゃないか、大河、長いんだし、と思ったりしました。
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