矢島正明さん、麦人さん来た〜 ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!! な回です。しかも矢島さんの独白が多くて、草間博士らぶvな私としては、それだけでハッピーなのに、話がまた重く、それでも最後に救いがあって、とても好きな回でした。サブタイトルは「光る物体」。
八木という男が捕まりました。すぐに始まる独白にあるように、彼は動物園(舞台が東京であることを考えて、上野あたりではないかと思われます)の飼育係でしたが、戦時中、動物たちを虐殺した過去があり、今度は勤め先の園長を殺した罪を疑われていました。
同僚が語る孤独な男、八木。身よりもなく、天涯孤独の身で、人付き合いも悪い八木の心にのしかかっていたのは、いつも戦争のために動物たちを殺したという過去だったのです。それは、空襲に遭った八木が逃げ込んだ地下倉庫で、このまま死んでもいいと思っていたのに、動物たちの剥製に取り囲まれて死を恐れた、動物たちの自分を責める眼差しを恐れたという事実にも強く表われているのでした。
ところが、殺された園長の死体は、水分を失ってミイラ化しており、とても人間業とは思えません。
そして、今度の事件の裏には、過去、落下した隕石に取り憑いた光る物体に発端がありました。そのことを知る山岸博士が登場しますが、あんまり役に立ってません。どっちかというと、今川監督の麦人さん好きが… だいたい、光るアメーバみたいな生き物という時点ですごく珍しいだろうに、死にそうになったところを保護して研究もせずにそれっきりとは、科学者の風上にも置けんだろう。
そして孤独な八木さんの回想が続きます。彼は地下倉庫で光る物体に会い、孤独な者同士、仲良くなったのです。八木さんは光る物体はあちこちで殺人事件を起こしていたことを知りつつも、たくさんの動物を殺した自分と同じ境遇だと考え、光る物体を庇おうとしていたのでした。
そして、八木さんが逃亡します。
行方を追って例の地下倉庫に向かった関刑事は、そこで巨大化した光る物体に遭遇、逃げ出したところへ正太郎、大塚署長、山岸博士が現われ、光る物体と鉄人の一騎打ちとなります。
ところが、光る物体は鉄人をもしのぐ巨象となり、鉄人を追い詰めるのですが、実は電気に弱いため、小さくなってしまって逃げ出しました。
そして、正太郎たちは八木さんの日記を発見、そこに書かれたことに驚きます。
そこへ現われた八木さんは、光る物体を彼と呼んで逃がそうとしますが、こっそり鉄人を動かした正太郎に囚われてしまい、光る物体の正体を明らかにするのでした。あらまぁ。そして、鉄人の放つ電撃のために倒されてしまいます。
光る物体はどうやら、地下倉庫で八木さんを殺し、その姿を模したようです。で、わざわざ日記に書いたのか… 鉄人に捕まり、光る物体としての本性を現してからも最後まで八木さん口調だったので、すっかり八木さんになりきっていて、自己暗示がそのまんまだった模様。しかし、自分の死を観察するとかって、すごくシュールだわ…
しかし、すっかり八木さんになった光る物体は、八木さんの背負っていた動物虐殺の罪をも負っていました。そして彼は、地下倉庫で、暗闇で今も自分を見つめる動物たちの眼差しが責めるものではなかったと気づいたのです。苦しいことは彼も同じだった。戦後10年経ってもこうして孤独に苦しみ続ける八木さんを、動物たちは赦し、同じ苦しみにあえぐ者として受け入れていたのではないか。そうつぶやいて消えていく光る物体。
思えば、この光る物体もまた、不本意ながら、地球にやってきたのでした。命を取らねば生きていけなかった生命、その姿はまた、生きるために動物といわず植物といわず、その命を取らなければならない私たち人類にも共通するものだと思います。けれど、八木さんが殺した大勢の動物たちが彼を赦したように、私たちもまた、毎日のように殺し続けていく生き物たちに赦されながら、その命を長らえているのではないかと思うのでした。
しんみりした話が続くなぁ。熱いばかりでなく、こういう展開がうまいのも今川監督の良さです。これはますます、原作者・横山光輝先生の意図したように鉄人が最期を迎えるというラストを期待してしまいます。「ターミネーター2」も、シュワちゃんが溶鉱炉に降りていくラストが好きなんだぜ! 「エクスペンタブルズ」見に行かなくちゃ!
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