C.S.ルイス著。瀬田貞二訳。岩波少年文庫刊。ナルニア国ものがたり5。
カロールメン国の漁師の息子シャスタは、自分が父親の本当の子でなく、貴族に売ろうとしているのを知って、貴族の馬、ものいう馬のブレーと逃げ出す。途中でカロールメンの貴族の娘アラビスと、やはりものいう馬であるフインを仲間にしてブレーやフインの生まれたというナルニアを目指すシャスタたち。タシバーンという大きな町でカロールメンの王子の恐ろしい計画を知った2人と2頭は、アーケン国へ急ぐのだった。
今までの話と作風が違います。この話、初めてナルニアの側の人間が主人公です。後の話を見ても、たぶん、これだけです。いったいどういう理由があったんでしょ? 第1巻でさらっと流されたピーターたち4人の王や女王がナルニアに君臨した時代について、リクエストでもあったか、著者に書きたいという気持ちがあったのか、と思います。
カロールメン王国やアーケン王国について描写があったのもこれが初めてじゃなかったっけ? 「ナルニア」ではどの話も、わしらと同じような世界からナルニアへ行った子どもたちが主役でしたんで、見知らぬ世界と出遭うおもしろさがあったと思うのですが、そういう意味でも異色な1冊です。
シャスタとアラビスはわりと無難なキャラで、個人的には自惚れ屋のブレーがけっこうかわいかったですな。
あと、あんまり出番のないスーザンが争いの引き金となってしまっていたり、わりといい子ちゃんのルーシィが男勝りのような言われ方をしていたりしたのが、1巻と比べておもしろかったです。
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