C.S.ルイス著。瀬田貞二訳。岩波少年文庫刊。ナルニア国ものがたり6。
魔術師を自称する叔父の魔法の指輪で、異世界に行ってしまったディゴリーと、その友人のポリー。2人は、滅びかけた世界で恐ろしい魔女の女王をよみがえらせ、ロンドンに連れてきてしまったが、別の世界へ連れていくことに成功する。生まれたばかりのナルニアに悪を持ち込んだことになるとは知らないで…。
今までの話と一風変わった話です。
まず、なじみのペベンシー兄妹が出てきません。その従兄弟のユースチスとその友人のジルも登場しません。主役は病気の母と変わり者の叔父を持つディゴリーと、彼と友だちになったポリーです。
そして、なじみのあるナルニアは、ここではアスランの創造によって生まれたばかりでしたが、その前に2人は滅びかけた世界へ行き、ディゴリーの悪戯からそこで眠る魔女、女王ジェイディスをよみがえらせてしまうのでした。彼女につきまとわれることになってロンドンまで戻ったディゴリーたちは、魔女を自分たちの世界から連れ去ることに成功しますが、世界を渡る指輪で次に行ったのが生まれたばかりのナルニアでした。
で、この魔女が第1巻でナルニアを終わりのない冬の世界に陥らせた魔女であったり、いちばん最初にルーシィがナルニアにやってきた衣装ダンスの由来や、こちらの世界とナルニアを結ぶ街灯のこと、ひいてはディゴリーが後にどういう役割を果たすことになるか、などが語られるわけであります。
アスランの詩によってナルニアが生み出されるシーンは、映像的でありますが、映像で描いたら、陳腐になりそうな気がしました。わしは、ファンタジーというのは知らないところがあるものだと思うんですけど、そういう知らないところを知らないままにしておくのでなく、何でもかんでも映像で見せてしまいたがるハリウッドみたいな映画には、「ナルニア」は合わないな〜と思うわけです。特にこの巻は。
わしらの想像にまかせておいてほしい部分、というのがファンタジーってものだと思うんですけど。
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