劉智渠 述。劉永鑫・陳蕚芳 記。岩波書店・同時代ライブラリー。
花岡事件に参加した八路軍の元兵士・劉智渠さんの手記です。
重労働をさせておいて食事が1食につき饅頭1個と根菜1本とか、生々しい虐待と、実際の蜂起の様子とそれが失敗に終わってしまったこと、さらに日本の敗戦により解放されるまでを綴っています。
もとは1951年と、まだ敗戦の記憶も生々しい時代に出された本で、花岡事件を描いたものとしてはいちばん早いそうですが、岩波書店が同時代ライブラリーに収録したので、今の時代に生きる我々にも読めるのです。岩波書店は何だかんだ言われていますが、こういう貴重な書籍を出すという点では評価に値する出版社だと思います。売れてなんぼのKADOKAWAとかには逆立ちしても真似できないだろうという。
文庫なんでさらさらと読んでしまいました。
日本と日本人は、沖縄とアイヌと侵略したアジアの全ての国々に、容易に返すことのできない負債を負っている。そのように思います。
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